アレが食べたいからこの店へ!中野にある閑静な“カウンターガストロノミー”で、ディナーを楽しむ!

サブカルチャーの発信地である中野は、ラーメンの激戦区として知られており、居酒屋やカフェも多い。手頃な飲食店が多いこともあって若者に人気の街だけれど、食通を満足させられるような、9席カウンターの“オトナのレストラン”が2025年7月27日(日)にオープンした。

〈サンカ(sanka)〉は中野駅の“レンガ坂”を上ってすぐのところに位置している。駅から徒歩1分ほどの距離にありながらも、喧騒とは無縁の静謐な隠れ家レストランとなっている。

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レストラン入り口

アレが食べたいからこの店へ!中野にある閑静な“カウンターガストロノミー”で、ディナーを楽しむ!
シェフの古澤英夫さん

シェフを務めるのは古澤英夫さん。東京でフランス料理の基礎を学び、24歳で渡仏し、アルザスの3つ星レストラン〈ランスブール〉はじめフランス各地の名店で約7年間修業を積んで帰国。都内のレストランで研鑽を重ねて、〈サンカ(sanka)〉のシェフに就任。料理の腕はもちろんのこと、JSAシニアソムリエ、C.P.A.チーズプロフェッショナル、J.S.A.サケディプロマをもっており、様々な分野において造詣が深い。

多才な古澤さんが紡ぎ上げるのが、一斉スタートで開始される“ディナーコース”(1万5000円)。8品構成になっていて、日本とフランスの食文化を融合させた料理の数々が味わえる。

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“赤パプリカと枝豆”

“赤パプリカと枝豆”は、日本の夏とフランスの夏をテーマにしたアミューズブーシュ。ちょっとしたギミックもあるから、楽しみにしておいて。“日本の夏”は枝豆を用いた一品で、枝豆の青い味わいが印象的で、上にあしらわれたピーテンドリルが愛らしい。“フランスの夏”は、薄い生地に赤パプリカのムースを包み、キャビアを乗せた。
生地のパリパリ感が小気味よく、ムースのなめらかさがシャンパーニュによく合う。

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“じゃがいも”

3種類のジャガイモを巧みに用いたのが“じゃがいも”。しっとりとしたメークイン、黒紫色の皮と赤紫色の果肉のシャドークイーン、ほくほくとしたアンデスレッドをエクラゼ=押し潰して、程よい粒感を残している。ベーコンの出汁のチュイール、ビシソワーズ、ジャガイモのパウダーに、たっぷりと削ったサマートリュフを合わせた。富山県の陶芸家、釋永岳さんが作陶した陶器の風合いが、これまた料理に寄り添う。

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“魚と冬瓜”

“魚と冬瓜”は、青森県の神経締めしたイサキをポワレした魚料理。イサキは表面が炙られており、佳香が広がる。煮詰めたアサリの出汁とオイルの酸味がちょうどいいバランス。夏野菜の冬瓜、オクラ、パプリカ、サヤインゲン、ヒョウタンを合わせ、味わいは豊かで色彩も明るい。

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“夏蝦夷鹿とビーツ”

メインディッシュは“夏蝦夷鹿とビーツ”。脂が適度に絞られた夏の蝦夷鹿を優しく火入れし、美しいロゼ色に仕上げた。蝦夷鹿の繊細な上味が存分に味わえる。
胡椒の効いたポワヴラードソースと削った黒トリュフで、香りが豊か。添えられたビーツはカリカリっと小気味よい。

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“チーズのかき氷”

口直しのデザートは、“チーズのかき氷”。専用のかき氷機を用いたかき氷で、通年を通して提供される。甘酸っぱいパッションフルーツのソースに、酸味とコクのある羊のシェーブルチーズのムースで、メリハリある味わい。

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“もも三種”

“もも三種”は、フレッシュな桃、プラムのコンポート、ソルダムのコンポートが共演したメインのデザート。ヨーグルトのムースが全体をつなぎ、桃のジュレがさっぱりさせてくれる。上に乗せられたレース型のチュイールも可憐。


“ワインペアリング”(7500円/6品)や“ノンアルコールペアリング”(6000円/6品)もオーダーすれば、料理をもっと楽しめることは間違いなし!

アレが食べたいからこの店へ!中野にある閑静な“カウンターガストロノミー”で、ディナーを楽しむ!
左上:“ジョセフ・ペリエ キュヴェ ロワイヤル ブリュット” 左下:“鳥居平今村 柏尾山南方 甲州ブラン 単一畑 柏尾山圃場” 右上:“ドメーヌ・アルベール・マン アルザス リースリング 2022” 右下:“シャトー カントメルル 2015”

最初のシャンパーニュは“ジョセフ・ペリエ キュヴェ ロワイヤル ブリュット”。フレッシュでさわやかな味わいで、複雑味もあるから、料理にもぴったり。繊細な泡立ちが心地よく喉を潤してくれる。

果実と甘い花のような香りがする白ワインが、“ドメーヌ・アルベール・マン アルザス リースリング 2022”。

しっかりと厚みのある印象で、ジャガイモにもよく合う。

印象的な日本のワインが、“鳥居平今村 柏尾山南方 甲州ブラン 単一畑 柏尾山圃場”。“勝沼のグラン・クリュ”とも呼ばれる畑のブドウから造られた白ワインで、凛とした骨格をもち、日本ワインには珍しいミネラル感がある。繊細な魚の俊味をより引き出してくれるはず。

“シャトー カントメルル 2015”は肉料理に相応しい、フランス・ボルドーの赤ワイン。しなやかな赤と黒の果実味が繊細な酸味とマッチしていて、夏の蝦夷鹿の肉を鷹揚に包み込んでくれる。

皿の上の食材、ソース、添えられたワイン。これら3つの香りから紡がれるフランス料理の世界から、店名の〈サンカ〉が命名された。2年の準備期間を経て、中野に登場したカウンターガストロノミーに、期待しかない!

 
●ディナーコース 1万5000円
赤パプリカと枝豆/二つの“夏”から始まる
ひょうたんと貝/旅の記憶
じゃがいも/土の香りを、皿にのせて
とうもろこしとブイヤベース/南仏の郷土料理を、日本の夏で描く
魚と冬瓜/日本の海のいま
夏蝦夷鹿とビーツ/山の命を、まっすぐに受け取る
チーズのかき氷/香りを味わう氷のかたち
もも三種/三つの余韻、香りが記憶に残る果実   

 

INFORMATION

●サンカ(sanka)
住所:東京都中野区中野3‐34‐24 プラスビル
営業時間:18:00~ 一斉スタート
定休日:火・水曜
TEL:070-9176-3535
URL:https://www.sanka.tokyo
※サービス料込み


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文=東龍 text:Toryu
1976年台湾生まれ。テレビ東京「TVチャンピオン」で2002年と2007年に優勝。ファインダイニングやホテルグルメを中心に、料理とスイーツ、お酒をこよなく愛する。炎上事件から美食やトレンド、食のあり方から飲食店の課題まで、独自の切り口でわかりやすい記事を執筆。

審査員や講演、プロデュースやコンサルタントも多数。

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