中国のポータルサイト・百度に9日、日本の果物栽培が中国を50年リードしていると言われる理由について考察した記事が掲載された。

 記事は、巷間で「日本の果樹園管理技術は本当に先進的で、中国は少なくとも50年遅れている」という言われ方をしていると紹介。
以前に中国のある果物協会の関係者が日本のリンゴ園を視察したさいに、いくつかの点において大いに感銘を受けたと伝えた。

 まず、果物の栽培にあたり品質を最重要視し、品質を二の次にした大量生産を行わない点を挙げている。記事は、果樹が開花した際に多くの花を落として果樹の負荷を低減させ、残った花が結実した際の品質を高めるとともに、土壌の有機質の消耗を低減させる工夫をしていると紹介した。

 次に、日本では土の温度、湿度の管理を大切にしており、ほぼ毎日土壌や空気の温度、湿度を測定して記録するとともに、異常が発生した場合には速やかに対策を講じて数値を正常に戻すのだとしている。

 さらに、土壌中の有益な菌群が死滅するのを防ぐために可能な限り化学肥料を用いず、畜産農家と提携して有機肥料中心の栽培を行うこと、果樹園内の雑草を残すことで土壌中の水分蒸発を防ぐほか、冬に枯れて腐った雑草を有機肥料として利用する工夫をしていることを伝えた。

 記事はその上で「単にこれらの管理方法と取り上げて、日本の果樹園管理技術が中国を50年リードしているというのは正確ではない」とし、重要なのは果樹園の土壌に含まれる有機質の含有量が日本と中国で非常に大きな差があり、様々な努力や工夫によって日本と同じ水準に到達するためには少なくとも50年はかかるという意味なのだと指摘した。


 目に見える取り組みを模倣することは必ずしも難しくはないが、長年蓄積してきた経験とその結果はいくら真似ても簡単には手に入らない。中国が50年と言われる差を縮めるには、自国の状況にあった最良の方法を模索して行く以外に方法はないだろう。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)