日本の女性では結婚式や成人式などで着物を着る機会があるが、特別な日に限らず街中で着物を着ている女性を見かけることもある。着物を着ていてもそれほど珍しがられるということはないのが日本の日常と言えるだろう。


 一方、中国では漢民族の伝統衣装である「漢服」を着ている人はまずいない。中国メディアの快資訊は25日、「中国の漢服が日本の着物のように日常に定着していない理由」を分析する記事を掲載した。

 中国の民族衣装というとチャイナドレスを思い浮かべる人は多いだろうが、これは中国最後の王朝を支配した満族の民族衣装がもとになっている。中国の人口の大多数を占める漢民族の民族衣装は漢服だ。記事は、近年の中国では漢服が見直されてきたとはいえ、「観光地で1人か2人見るようになってきた程度」で、周りの人からは物珍しくじろじろ見られてしまうと伝えている。漢服が、日本の着物のように国の文化として残っていないのはなぜだろうか。


 記事はいくつか理由があると分析している。その1つが「文化の継承」が重視されてこなかったことだという。日本は西洋化を進めながらも自国の文化を意識的に残してきたが、中国ではアヘン戦争後に全面的な西洋化となり漢服が重視されなかったそうだ。ここ数年でようやく見直されるようなってきたと伝えた。

 そして、伝統文化が継承されなかったので「心理的な障害」が生まれるようになったと分析している。多くの中国人は伝統衣装の漢服が好きではあるものの、非常に目立ってしまい、「変わった人」と見られることを恐れてしまうという。
それに、漢服は車やバイクの運転をするのに不便であるほか、「顔に自信がない」人は漢服を着ることを躊躇うとしている。

 中国では漢服に限らず多くの伝統文化が失われてきた。そのため、「唐の時代を見たければ日本に行け、明の時代を見たければ韓国に行け」と言われてしまうのだろう。とはいえ、最近では若者を中心にコスプレの一種として漢服を着る人も出てきており、日本の着物とは違った方向に発展していくのかもしれない。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)