6月20日、中国山東省青島の初めての国際高校――青島格蘭徳中学国際部は今年から日本語コースを開設すると、地元のマスコミに公表した。同校は2008年に設立され、主に欧米留学のための「英語教育」をしてきた。
この10年、日中関係は政治面において食い違いがあるにもかかわらず、経済面では実はますます緊密な関係を持っている。両国間の「人的移動」は非常に盛んになっている。日本では一時的に中国から来た観光客で盛り上がったこともある。また、日本のソフトパワーと言われているアニメ文化が世界中で人気を得ている現在、アニメで日本語を勉強したくなる中国の若者が増えた。2024年までに、中国での日本語学習者は100万人を超え、世界一となっている。
一方、中国の改革開放政策や一帯一路政策など国家レベルの政策で、「外の世界を見たい」と海外留学を志望している中国の若者は少なくない。西洋文化に憧れるが近隣日本の文化も知りたいという二つの選択肢で悩む中国の若者もいる。しかし、米大統領トランプ氏の一連の関税政策や米国の大学の留学生受け入れ政策、米国国内での一連の「暴動」問題などで、米国留学を諦め、英国、カナダ、日本留学を選ぶ中国の若者は増えた。

青島格蘭徳中学国際部には何年か前から「日本語コースはありますか、設けますか」という問い合わせがあるが、およそ3年前、今の校長の宋文琴氏が校長に着任し、本格的に日本語コースの開設を考え始めた。

海外留学はなぜ日本を選んだか、生徒とその保護者にインタビューした。
保護者A氏は中国と日本は地理的に近く、子どもはホームシックになりにくいではないかと語り、「アジアの人は外見から欧米人と違い、向こう(欧米)で差別されないかという心配もある。日本と中国は外見も飲食も大差はないから、子どもはすぐ慣れられる」と、インタビューに応じた。保護者B氏は「日本は治安もいいし、戦争がないため、欧米留学より日本の方が安心感がある」と答えた。生徒A君は「日本のアニメを見て日本に留学したくなりました。日本語には漢字、仮名、ローマ字があり、面白く習っています」と答えた。生徒Bさんはもともと米国留学を希望していたが、トランプ大統領の「留学生政策」を見て失望し日本留学に変えた。しかし、英語圏と言えば、英国、カナダという選択肢もあるのに、なぜ日本を選んだかを聞いたら、「イギリスは物価も高いし、移民で治安が悪化しているし、最大の理由は料理がおいしくないからです」と答えた。

トランプ氏の一連の政策で留学先を変えても海外留学に行くところから、中国人は「海外留学」に執着があるようだ。周知のように、中国の近現代は一時的に「鎖国」であった。そのせいか、中国の近現代は世界潮流にかなり遅れていた。そこで、100年以上前から公費・私費で海外留学に行く中国人は増えた。留学先は欧米諸国や日本であった。現代になって、1978年に中国で実施された「改革開放」政策で、鄧小平氏は「教育は近代化に向かって、世界に向かって、未来に向かうべきだ」と指摘し、中国で世界へ向かうドアが開かれた。中国人の最初の留学目的はあくまでも先進国に「学ぶ」ことであったが、中国の国内総生産(GDP)および生産性が増すにつれ、留学目的は「研究」「文化交流」へと変わりつつある。

青島格蘭徳中学国際部校長の宋氏は米国留学の経験者であり、国際的な視野を持つ教育者である。日本語コースの開設について、宋氏は「中国と日本は一衣帯水の隣邦であり、古くから交流の歴史を持っている。