拡大の一途を辿る「貧富の差」は中国政府を悩ます問題となっており、中国は「共同富裕」の政策を通じて格差を是正したい考えだ。では、中国から見て、日本の貧富の差はどう映っているのだろうか。
中国メディアの網易は8日、「日本が中国よりも貧富の差が小さいというのは本当なのか」と題する記事を掲載した。

 所得格差を示す指標である「ジニ係数」では日本の方が中国より圧倒的に「公平」とされている。記事はいくつかの分野から、「日本は中国より貧富の差が小さい」という論調が本当かを分析しているが、まずは収入に応じて納める金額が異なる「健康保険制度」で、納める額が違うからといって受けられるサービスに格差をつけられることはないと感心した。

 さらには、「所得税」が高所得者から多く徴収する累進課税になっていると紹介した。中産階級の所得税率はそれほど高くないので中間層が比較的豊かという特徴があるとしている。このほか、日本は米国など他国よりもずっと超富裕層の数が少ないことも貧富の差が小さい要因だと分析した。また、中国と違って芸能人の所得も極端に高額ではないと違いを強調している。

 しかし記事は、「日本と比べてはいけない」とも伝えている。ずっと前に先進国入りした日本では、社会制度も経済水準もすでに安定しているのに対し、中国はまだ発展途上国で、一人当たりのGDPもやっと1万ドルを超えたばかりだから、と説明した。いきなり先進国のような制度を導入するとしたら、それは「まるで小学1年生に立体幾何学の問題を出すようなもの」で、段階的に改革を進めるべきだとの見方を示した。

 記事の中国人筆者は、中国も徐々に社会制度を改革していくことで、中国の制度の優位性がより明らかになっていくと主張し、極めて楽観的な見方で記事を結んだ。しかし、現実には中国の貧富の差は非常に大きくなっており、共同富裕を進めるための改革を実行するのはそう簡単なことではなさそうだ。
(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)
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