中国高速鉄道は総延長距離で世界一を達成してからも鉄道網の拡張を続けてきた。しかし、ここにきて高速鉄道網の拡張が「クールダウン」しているという。
中国メディアの騰訊はこのほど、中国が高速鉄道の建設を「全面的に調整」することになるかもしれないと伝える記事を掲載した。

 これまで高速鉄道建設に熱を入れてきた中国が、急にクールダウンする可能性が浮上したのはなぜだろうか。記事は3つの理由があると伝えている。まずは「赤字路線が多いこと」だ。これは以前から言われてきたことだが、記事でも黒字路線は数えるほどしかないと紹介している。

 2つ目は「建設コストの高さ」を指摘した。もっとも、「日本の建設コストと比べればわずか半分に過ぎない」というが、それでも1000キロを建設するのに少なくとも1500億元(2兆7000億円)、それを同時に10本建設すると1兆5000億元(27兆円)かかると強調。中国は国土が広く、1つの路線が「長い」のでコストもかさばると説明している。

 3つ目の理由は、営業速度が速いぶん「運行コストがかかる」ためだ。中国では高速鉄道の速度で世界一になったことを誇りにしてきたが、それが仇となっているようだ。時速200キロで運行すると、時速350キロの時よりもコストを半分に抑えられるという試算もあるという。

 理由はさておき、中国政府が高速鉄道建設を「全面的に調整する」可能性があるのは確かなようだ。
2022年1月に開通した浙江省の杭台線は、民営企業が51%を出資したと報じられており、今後はこのような形でのコストカットを敢行していくのかもしれない。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)
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