上海証券取引所の科創板への上場を目指している、上海盟科薬業(688373/上海)が7月27日、新規上場(IPO)に向けた公募を開始する。1億3000万株を発行予定で、公募価格は26日に発表する。
公募終了後、速やかに上場する見込みだ。
 
 同社は2012年設立の民営企業で、20年に株式会社化した。感染症に特化した新薬開発を主業務としており、中国国内と米国に研究開発センターを設置して国際色豊かな人材チームが新薬の開発に勤しんでいる。約10年の新薬研究経験を持ち、すでに発売されている感染症新薬の開発に多く携わってきた。自社単独開発の薬品では、多重薬剤耐性グラム陽性菌によって生じる感染症を治療するオキサゾリジノン系のコンテゾリド錠が2021年6月1日に中国の国歌薬品監督管理局から発売認可を得て同社初の発売製品となり、12月には医療保険対象リストに収載された。このほか、2種類の薬品について中国内外での臨床試験を実施中で、早期の発売認可を目指している。

 中国の抗菌薬市場は2016年から19年にかけて急速に伸び、19年には1662億元に到達したが、20年には新型コロナの発生に伴う感染対策強化で感染症の発生が減ったうえ、中国政府が薬品の集中調達制度を導入したことで価格の低下が起き、市場規模は1244億元にまで落ち込んだ。21年には1360億元まで回復する見込みだが、24年に1385億元まで伸びた後は緩やかに減少して30年には1254億元まで減少する見込みとなっている。
 
 一方、医療や養殖分野で抗菌薬が大量に使用されていることで、薬剤耐性の問題が高まっている。WHOの試算では2050年時点で薬剤耐性の影響により世界で1000万人が死亡し、がんによる死者数を上回る可能性があるという。そこで、多重薬剤耐性を持つグラム陽性菌に効果を持つ新薬の開発に対する期待が高まっている。20年の中国における多重薬剤耐性グラム陽性菌感染症向け抗菌薬市場規模は41億元で、30年には約2.5倍の108億元にまで達する予測だ。


 同社は中国国産として初めての次世代オキサゾリジノン系の抗菌新薬を開発したこと、高規格な抗菌新薬臨床研究を行っていること、多重薬剤耐性グラム陽性菌の分野に特化していること、体系的な研究開発体制を整えていることなどを強みとする一方で、開発した薬品の販売拡大や国際的な臨床試験実施に向けた資金が不足していること、現時点で発売認可された薬品が1種類しかなく、臨床検査段階も2種類にとどまっていることなどがボトルネックとなっている。
 
 また、開発中の薬品について臨床試験で予期せぬ問題が発生して開発の遅延さらには失敗に至る可能性があること、発売済の製品に新たな薬物耐性が出現する可能性、コンテゾリド錠の発売によりようやく売上が出始めた状態であり、今後も一定期間利益が出ない状態が続く可能性があることなどが経営上のリスクとして存在する。
 
 2021年12月期の売上高は766万元(前期は売上高なし)、純損失は2億2627万元(前期比162.11%の損失増)。22年1~3月期の売上高は1068万元(前年同時期の売上高はなし)、純損失は5103万元(前年同期比44.16%の損失増)。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)
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