父親と、連れられた幼い子2人は5合目から歩いて富士山頂を目指した。小雨も降り出し、気温は摂氏0度程度にまで下がった。父親は「途中に売店が多くあるだろう」と考えていたが、山小屋なども少なく、あってもシーズン外なので、ほとんどが閉鎖されていた。子ども2人は途中で泣き出し、一時は歩くこともできなくなった。
8合目には人のいる施設(山小屋と思われる)があった。そこにいた比較的高齢の日本人数人に、それ以上の登山を強く止められた。施設に着いたのは午後3時ごろだったが、父親は「日が暮れるよりもずっと早い時点で、その日の行動を終える」という登山の基礎知識も知らなかった。
3人が日本に到着したのは9月27日で、同月29日には帰国した。
8合目の施設にいた日本人は子どもに手袋や帽子、衣服などをプレゼントし、下山のための道を教えた。親子3人は午後8時ごろ、ふもとの温泉ホテルに帰還した。
同話題は、中国で注目を集めた。中国版ツイッターのひとつ、「新浪微博」にも多くのフォロー(投稿)が寄せられた。日本への抗議は「是」としながら、幼児を“道連れ”にしたことへの非難が目立つ。
同趣旨の書き込みとしては「大ばか者。子どもは被害者だ。中国人はいつになったら、思考能力を身につけるのか」、「日本への抗議は支持する。しかし私は3歳の子の父として、4歳児をつれて富士山に登ることには、まったく反対する…(中略)…悪天候になったら、おそらく親子でえんまさまのところに行くことになる。子どもがかわいそうだ」などがある。
遭難の危機にあった親子を日本人が助けたことに対する反応もある。「結局、日本人に助けられて下山したということか」、「助けてもらえなかったら死んでいたところだ。この恥さらし」、「日本人に助けてもらいながら、感謝の表明もない。こんな者が愛国者か」などの意見が寄せられた。
日中の立場を置き換えた論評もある。「日本人が中国にきて長城で同じことをしたら、どうなることか」、「日本人の親子が中国で山に登ったら、殴りころされる。このことは、日本の民衆が比較的理性的であることを示している。わが国には、愛国のスローガンを掲げて、破壊活動をする者がいる。ちょっと比べてみろ。それ以上、言うべきことはない」などの書き込みがある。
全体的にみて、父子による「愛国活動」を全面的に支持する意見の方が、やや少ない。(編集担当:如月隼人)