上海証券取引所の科創板への上場を目指している、無錫市徳科立光電子技術(688205/上海)が7月29日、新規公開(IPO)に向けた公募を開始する。2432万株を発行予定で、公募価格は28日に発表する。
公募終了後、速やかに上場する見込みだ。

 同社は2000年設立の民営企業で、20年に株式会社化した。光トランシーバモジュール、光増幅器、光伝送サブシステムの研究開発、生産、販売を主業務としており、製品は主に通信幹線伝送、5Gフロントホール、5Gミドル・バックホール、データチェーンの収集、データセンターの相互接続、超高圧通信保護などの分野に利用されている。中興通訊(ZTE)、米インフィネラ、米シエナ、烽火通信、ノキアなど国内外の大手電気通信設備メーカーや、中国国内3大通信事業者、国家電網などと取引関係を持っている。

 2021年12月期の売上構成は、光トランシーバモジュールが34.43%、光増幅器が35.55%、光伝送サブシステムが24.71%。

 光通信業界は5G通信の普及、データセンターへの投資ニーズ増加などに伴って急速な発展トレンドにあり、その発展は基幹ネットワーク、メトロポリタンエリアネットワーク、広帯域アクセスネットワークの構築、改良の動きをもたらしている。その中で高速光トランシーバモジュール、光伝送サブシステム製品は大きな発展のチャンスを迎えている。2020年末現在、中国における固定インターネット広帯域アクセスユーザー数は4億8400万件で、そのうち4億5400万件が光ファイバー広帯域ユーザーだ。トラフィックの増加とともに通信速度の向上も進んでおり、今後3~5年で10ギガビット/秒の10G PONへの全面的なアップグレードが完了し、さらに高速な50G PONの規格も整備される見込みとなっている。また、世界のデータセンター市場規模は2015年の400億米ドル弱から20年には600億ドル超まで成長し、これに伴い光伝送設備市場規模も20年には160億ドルに達した。

 今後、光トランシーバモジュールは高速化、長距離化、集約化が、光増幅器は大容量化、小型化したプラグ接続可能なものが、光伝送サブシステムも長距離化、高密度化、インテリジェント化が求められるようになるとみられ、同社は20年の経験と高い技術力を生かして市場のニーズに合った製品開発を進める。

 同社はさまざまな国家プロジェクトを担当する、業界標準を主導で制定するなど豊富な技術的蓄積を持っていること、在籍10年以上の研究人員20人以上を含む121人の優れた研究人員を有し、高い開発力を備えていること、幅広い製品体系を持っていること、国内外の大手企業を顧客に持っていることなどを強みとしている。
一方で、さらなる発展に向けて人材の増強が必要であること、生産能力が不足していること、そして生産や研究開発を強化するための資金を調達する手段が限られていることなどがボトルネックとなっている。

 また、売上が一部の顧客に集中していること、5G通信など川下業界の需要鈍化による業績低下、業界の競争激化、光チップ、ポンプレーザー、集積回路(IC)などを中心に、原材料の約半分を海外からの調達に依存しており、国際貿易摩擦の影響を受けやすいことなどが経営上のボトルネックとなっている。

 2021年12月期の売上高は7億3109万元(約9.99%増)、純利益は1億2644万元(約18.58%増)。22年1~3月期の売上高は2億520万元(前年同期比23.07%増)、純利益は3258万元(同9.66%増)。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)
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