投資家心理がやや上向く流れ。米利下げ期待で米長期金利が低下したことや、人工知能(AI)産業の拡大期待などで米株が史上最高値を更新したことを好感した。米連邦準備理事会(FRB)の利下げサイクル開始が意識される中、11日の米債券市場では長期金利の指標となる10年債利回りが4.02%に低下。一時3.99%と4月上旬以来の低い水準を付けた。中国の政策に対する期待感も相場を支えている。8日に始まった全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会会議の決定内容については、最終日のきょう12日以降に国営メディアが詳細を報じる見通し。主要政策の方針が注目されている。(亜州リサーチ編集部)
ハンセン指数の構成銘柄では、中国インターネット検索最大手の百度集団(9888/HK)が8.1%高、アルミ加工の中国宏橋集団(1378/HK)が7.0%高、中国電子商取引(EC)最大手の阿里巴巴集団HD(アリババ:9988/HK)が5.4%高と上げが目立った。アリババに関しては、クラウド事業の拡大期待に加え、新規投入の口コミサービス「高徳掃街榜」がライバルとされる美団(3690/HK)傘下「大衆点評」のアクティブユーザー数を初日に超えたと伝わったことも支援材料となっている(美団株は前日比変わらず)。
セクター別では、中国の不動産が高い。遠洋集団HD(3377/HK)が13.1%、合景泰富地産HD(1813/HK)が9.3%、融創中国HD(1918/HK)が8.7%、碧桂園HD(2007/HK)が6.5%ずつ上昇した。
AI技術やクラウド、ロボットなどテック銘柄も物色される。商湯集団(センスタイム・グループ:20/HK)が7.1%高、青島創新奇智科技集団(2121/HK)が2.3%高、万国数拠HD(9698/HK)が15.7%高、金蝶国際軟件集団(268/HK)が3.2%高、深セン市越疆科技(2432/HK)が5.2%高、深セン市優必選科技(9880/HK)が2.7%高で取引を終えた。
半面、香港に拠点を置く小売セクターはさえない。輸入食品店チェーンのCEC国際HD(759/HK)が6.3%、宝飾小売チェーン大手の周大福珠宝(1929/HK)が2.9%、イオン(AEON)グループ傘下の永旺百貨(984/HK)が2.3%、菓子小売チェーンの優品360HD(2360/HK)が1.4%ずつ下落した。
本土マーケットは3日ぶりに反落。主要指標の上海総合指数は、前日比0.12%安の3870.60ポイントで取引を終了した。金融が下げ主導。消費関連、自動車、エネルギー、公益なども売られた。半面、ハイテクは高い。自動車、医薬、非鉄も買われた。
(編集担当:亜州リサーチ=サーチナ)