「1等3億円出ました」。
東京都内某所の宝くじ売り場、「1等3億円出ました」「2等1億円出ました」という派手な張り紙が目立つ。
まさしく一攫千金。大勢の人がその夢を追い求める一方で、平成19年度は588人の億万長者が誕生しているのだ。実に1日あたり1.5人にも上る。あなたの家の隣人、オフィスの隣の席の同僚、学校の同期生、必ずどこかにいるはず。
しかも、直近の「グリーンジャンボ宝くじ」(発売2月16日から3月6日)でも「億万長者が17人!!」と銘打っている。この発売期間の約3週間だけで、17人も誕生するのだ。
ただ、実際には「3億円当たった」などという声を当選者本人の口から聞いたことがあるだろうか? 宝くじ長者とは一体どんな人なのか。そんな疑問が「YUCASEE MEDIA」(ゆかしメディア)が、今回の企画に取り組むきっかけとなった。
■男性の30%が当選を人に教えない
「男性 60歳代 しし座 会社員 イニシャルY.K」
「女性 50歳代 みずがめ座 主婦、イニシャルM.M」
これが世間一般には平成19年度の一応の当選者モデルとされている。このデータは「宝くじ長者白書」で、毎年みずほ銀行から公表される資料。
数字選択式(ロト)のデータに「当選を誰に伝えるか」という項目で「妻・夫」が41%、その一方で「伝えていない」が26.4%にも上る。特に男性は30.6%で、女性の13.0%を大きく上回っている。これで判ることは、伝えても家族のみで、一切他言しない人も意外に多いということだ。
みずほ銀行からも、これ以上の有益な情報提供は得られない。そこで高額当選者を探してみることにしてみた。
■「都市伝説」なのか?
売り場に高額当選の経験がある人はいるのだろうか? 「当たってたら、こんな所にはいないよ」。話を聞けばみんな、そんなことを口走る。「当たった」、または「当たった人を知っている」という情報にはまったくたどり着かず、何度か、こんな取材を繰り返す日々が続き、ある日「1等を当たった人を知っている」という話が出てきた。
元売り場担当者の知り合いの知り合いという、今にも切れそうな糸を辿ってつながった。話を総合すると、関東地区の男性で数年前に1億円を当てて、そして当選金の一部は住宅ローンを支払ったという。
ちなみに2002年に「宝くじ高額当せん者」(宝島社、岡崎昴裕著)という高額当選者を辿るというノンフィィションが発表されている。高額当選者9組に当たるべく取材するが、結局は間接的にしか話を聞くことはできず。「多くは本人からの真偽の確認が取れていないもの。その意味においては『都市伝説』の一つにすぎない」と結んでいる。
分かりづらい日本とは違い、当選者の話題が時々報道される海外の例を見てみる。
■公表すると不幸になる?
海外ではよくメディアに取り上げられることもある。ただ、高額当選者のその後、という特集も見かける。ただ、そこには不幸な実例もよく見受けられる。
例えば米国では、宝くじ「パワーボール」で360億円もの巨額の当選金を得た、実業家の話が取り上げられたことがあった。泥棒に入られ、友人たちには借金をせがまれ、人が信じられなくなり、酒に溺れた。そして、妻は愛想を尽かして家出、後継者にと考えていた孫娘は麻薬中毒になった後に死亡した。
またイギリスでは、一昨年の夏に同国史上2位の約61億円を当てた男性は、すでに10億円の豪邸に住みロールスロイスを所有しているといい、「大当たりを家族以外には話すまいと必死だ」とまで報じられている。
ただし、公言してしまったがために不幸に遭うとも言われており、米国の実業家はまさにその典型的な例。後者の英国の男性も、知られることによる不幸を恐れたのかもしれない。米国の場合は当選者に、精神面のケアを担当するカウンセラーをつけたり、当選金を管理するコンサルタントをつけたりするのだという。それだけ、心のバランスを平静に保つのは難しいことなのだろうか。日本でも高額当選者には「その日から読む本」という、これらを参考にして作成された小冊子が配布される。
しかし、大金を手にしてから、その反動で必ずしも不幸になるというわけではない。
例えば「人生の負け組にいた私にとっては、素晴らしい体験もさせてもらったと思います」と語ってくれた、高額当選者がいた。そう声の主は、ロト6で1等3億円を当てた、アノ人だ。
次回はロト6で1等3億円を当て、連続ドラマにもなったセレブ君、こと久慈六郎さんが登場。
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