■1等当選は弁当を買いに行くついでだった

 「8、27、30、31、38、42」。これは、2005年4月に実施された、第221回ロト6の1等当選番号だ。


 それを年収わずか320万円のサラリーマンが的中させた。どこにでもいるような、この38歳(当時)の独身男性が後に全国に名を知られて脚光を浴びるなどとは誰も、いや本人さえも考えていなかっただろう。だが、たまたま、ある日の昼休みに弁当を買いに出かけたそのついでに購入したロト6で、1等3億2000万円が当選してしまった。

 その名を自称セレブ君こと、久慈六郎氏。平凡な人生を送っていたのだが、単なる偶然が重なったのか、思いもよらぬ幸運が舞い降りてきた。人生とは、本当にどこで何があるのかわからない。


 今回「YUCASEE MEDIA」(ゆかしメディア)の取材に応じてくれたセレブ君。その話から高額当選者像を明らかにしていく。

■通帳に9ケタの数字

 人生とは、何とドラマティックな舞台を用意してくれているのだろうか。自分は平凡な脇役か、と夢を諦めかけた者にも、女神は微笑むことがあるからだ。家賃2万円の古い木造アパートに住む38歳のサラリーマンが、一瞬にして資産3億円の億万長者になってしまった。

 「宝くじは好きなので、昔からずっと買い続けていました。
でも、まさか1等が当たるとは思っていませんでしたし、3億円当たったあの時も自分と会社に関係のある数字を選んだだけでしたから」

 誰もが1等当選など夢のような話に思っているものの、1億円以上の当選者は実際には1年間に588人(昨年度実績)も誕生しているのだ。1日にして約1.6人。買い続けていたセレブ君が、その一人になっても全く不思議ではなかった。

 「名古屋のみずほ銀行の大きな支店なら、(1000万円以上の当選者は)1カ月に3、4人は来るらしいです。行員の対応も事務的というか、すぐに応接室に通されて手続き説明を受けました。ほんと、手馴れたものでしたね」とセレブ君。
自身が支店に当たりクジを持っていった際には、クジと引き換えに預り証をもらい、後日口座に振り込まれていたという。通帳には初めて見る9ケタの数字。これを見たセレブ君、自分自身が億万長者になったことを実感したのだった。

■幸福の絶頂から人間不信へ

 3億円を持ったから初めて○○してみる。○○とは、例えば部屋に1万円札を広げて写真を撮影してみたり、とりえあずロレックスの腕時計を購入したり、50万円持ってパチンコに行ったり…。セレブ君が当初、取った行動だった。


 「持ち歩いた最高額は400万円なんですが、財布にギリギリ収まるのは100万円までなんですね。400万円はバッグに入れて持ち歩いて、夜の街でドンペリのボトルをたくさん開けて飲み歩きました。飲みに行くのは好きなんですが、普段はそうではないのに、気が大きくなってしまったんでしょうね。一晩で使ってしまいました」

 そして、以前から思いを寄せていた生保レディをデートに誘う。そこで3億円の貯金通帳を見せてしまった。すると彼女の顔色はガラッと変わったのだという。
後に新婚旅行気分で海外旅行にともに出かけたりしたが、結局、金目当てだと思うようになり一方的に別れたのだった。

 「女性はお金目当てで近づいてくる人ばかりですね。おかげで人が信じられなくなりました。全然知らない人から『お金を貸してほしい』と電話が掛かってきたり、ブログにもいまだにそんなメッセージが来ます。親、親戚のおじさんくらいにしか話していません。ブログをやっているのは、それでも、誰かに聞いてもらいたいというささやかな気持ちからです」

 大金が転がり込んで得たものは、お金以外に何があるのか? 逆に人間不信ばかりが強烈に募るばかりだった。


■3億円が4年で6000万円に

 当選したのが2005年4月、それからもうじき4年になる。その間に、資産は3億2000万円から、約6000万円にまで減っていた。一言で片付けるなら度重なる浪費だ。株は1億4000万円ほど損失、海外旅行、人間不信による引越しを6回、飲み歩き、FX…。後悔の念で一杯のセレブ君が今にして「こうしておけば良かった」と思うことはたくさんあるという。

 「大きく殖やしたいと思って株に手を出したけど、やらない方が良かったと思います。1億円以上当選した人を対象に3カ月後のみずほ銀行で無料の相談会があるんですが、ここで最後には『預金してください』というようなことを言われます。今思えば、預金するのも悪くはなかったかなと思います。あるいは不動産で形に残しておくとか」

 今は、ロト6の賞金は使わずに節約をしているという。結局、資産は大幅に減らしてしまったものの、自身のブログ「ロト6成金のセレブな私生活」は、「電車男」並みに話題となったほか、昨年はついに反町隆史さん主演で、連続ドラマ化もされた。「人生の負け組にいた私にとって、人生で一番良かったことです」とセレブ君はいう。

■亡き父のおかげ?

 セレブ君には、お父さんが残してくれた形見とも言える国産車がある。約10年になるが、修理をしながら大切に乗っているのだという。当選後は、高級車に乗り換えようとも考えた時期もあったそうだが、思いとどまってこの車だけは手放すことはできなかった。

 「風水じゃないけど、墓参りはちゃんとした方がいいですね。あとは人のために何かやることですね。まさか、オヤジのおかげとまでは言いませんけど…」

 ロト6の1等当選は亡き父のおかげ、だと資産を減らしてからは以前にも増して感謝するようになったのだという。また、今は派手に散財することに懲りて、堅実な生活を送っている。「人生には二つの悲劇がある。一つは心の願いが達せられないこと。もう一つはそれが達せられること」(バーナード・ショー)。まさに、この言葉は、宝くじの高額当選者に当てはまる事かもしれない。

 一つの願いが達せられたことで強烈な人間不信になったセレブ君。しかし、また人生の目標ができた。それは結婚することと、資産を1億円の大台に戻すことだという。1等3億円当選という経験を糧に、セレブ君はまた心新たに人生を歩み始めた。ちなみに、好みの女性は当選当時からずっと一途にエビちゃん(蛯原友里さん)だ。(情報提供:YUCASEE MEDIA(ゆかしメディア))

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