私は貿易商社勤務時代から数えると40年以上の中国との交流の中で、数百回の宴席に出席した計算になる。特に日中貿易に携わっていた頃、先輩に厳しく指導された事に中国人との宴会で注意すべき3つのタブーがある。
タブーその1「マイペースで飲んではいけない」
宴会では手酌などはご法度で、飲む場合は必ず誰かと乾杯する。目と目を見交わしながら飲むのが中国流宴会の基本である。最も理想的なのは全員と乾杯するという方法である。それも一緒にグラスを持ち上げて乾杯するのではなく、自分の右隣の人から一人ずつ乾杯して、全員と酌み交わすのである。なるべく全員が同量の酒を飲むというのが中国流の宴会の重要な作法なのである。
タブーその2「絶対に酔ってはいけない」
中国人との宴会では、とにかくありとあらゆる口実を使って酒を飲まされる。しかしどれだけ酒を飲まされても酔った様子を表に出してはいけない。宴会がお開きになるまでシャンとしていなければならない。
すなわち、たとえ酒の席であっても、絶対に緊張をほぐさず最後まで崩れない人こそが中国社会では尊敬されるのである。そのため、うっかり気を緩めて泥酔しようものなら二度と宴会に呼ばれる事はないのである。これまで何人もの上司が宴席で失態をさらして商談をぶち壊した現場を何度も経験した。
タブーその3「宴会でまじめな話をしてはならない」
中国人との宴会で政治向きの話などはもってのほかということである。
他人から攻撃された場合、言質を取られていると逃げ道がなくなるからで、だから、中国人はなるべく面倒なことになりそうな話は避けたがるのである。他人が批判するのを聞いて黙っていたのでは賛成の証拠だといわれるので宴会の席では絶対に政治の話はしてはならない。昔の中国の飲み屋には「政治の話するべからず」という貼紙がしてあったくらいで、とにかく、くだらない話を大声でするのが宴会のルールなのである。
中国のレストランの騒々しさに多くの日本人が辟易するが、これも、彼らが周囲の人達に、自分がいかに二心なき人間であるかをPRしているかに他ならないのである。
中国における宴会が果たす重大な機能
このように中国人にとって、宴会には重大な機能があるのである。第一に誰が信頼でき、誰が信頼できないかを見分けるという機能、第二につねにパーティーに出席することによって、自分に寄せられている信頼感を他人にアピールする機能、そして第三に中国人社会で力を失った人間を見極める事が出来るという機能である。
どこの宴会へ行っても見かけなくなった人間は、まず失脚したと考えてよいであろう。そして最後は、有力者とコネをつけるという役割である。
写真は中国人との宴会での記念写真。(執筆者:水野隆張・日本経営管理教育協会営業部長)











