中国メディアは3月26日ごろから、韓国のテレビ局が3月7日、「(明朝の初代皇帝である)朱元璋は高麗人である可能性が高い」とする番組を放送したと、次々に報じた。これまで、韓国が江陵端午祭をユネスコの世界文化遺産に登録したり、世界各国の歴史的人物を自国人と主張したとの報道で、中国では韓国を「歴史乗っ取りの常習者」とする嫌悪感情がある。
「朱元璋高麗人説」でも、怒りやあざけりの感情が再燃した。

 「朱元璋高麗人説」を紹介したのは韓国MBCの番組「神秘な歴史サプライズ」。同国に残る記録や民間伝承を根拠とした。翌8日には韓国紙「中央日報」が、「中韓の学者が激論」などとして同話題を取り上げた。韓国内では朱元璋が自国出身だったとして「歴史を書き直すべきだ」との主張が相次いだという。

 同話題を25日に掲載した中国のニュース・サイト「環球網」には、29日午前11時までに2387件のコメントが寄せられた。同サイトに寄せられるコメントは通常でも比較的多いが2000件超えは異例の多さで、いわゆる「炎上状態」になった。

 ほとんどのコメントが、韓国に対する怒りやあざけりを示した。恥知らずと罵倒したり、ますますひどくなるなどと改めて怒りを示す書き込みが多い。秦の始皇帝もオバマ米大統領も韓国人と皮肉るコメントや、「笑い声」を書きつらねるユーザーもみられる。

 韓国がかつては中国の属国だったと主張し、再統一すれば問題は解決との書き込みもある。

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◆解説◆
 朱元璋(1328-1398年)は明朝(1368-1644年)の創始者。
生まれは安徽省の貧しい農家。白蓮教徒による反乱「紅巾の乱」に加わり頭角をあらわした。「乱」の実質的指導者になり、江南地域を統一。モンゴル人政権の元に戦いを挑むが、元はほとんど無抵抗で首都の大都(北京)から撤退。その後、北方に退いた元と明は、死闘を繰り返すことになった。

 異民族王朝の元を破った朱元璋は、漢族再興の功績者とされる。一方で朱元璋は皇帝即位後、官僚・知識人の大量殺戮(さつりく)や、陰謀を含むさまざまな手段でそれまでの盟友を次々に殺し、出身だった白蓮教も弾圧したことなどで、「陰険な独裁者」とされる。

 明朝は「鄭和の大航海」など例外を除き、元時代に盛んだった対外交流も抑え込み、「海禁」など鎖国政策を実施した。そのため「内向きな国家」との評価がある。

 明朝はさらに、北方に逃れた「元」は、「民族ごと滅びた」との主張をこめて、「蒙古」の民族名を使わず、「韃靼(だったん)」と呼ぶなど、公式記録でも強引な「変更」をおこなった。(編集担当:如月隼人)

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