中国の温家宝首相の長男、温雲松氏が、外部の批判を浴びている投資会社を離職し、国有企業に転職したことが分かった。中国の政治事情と関連があると見られる。
中国のネットメディアが伝えた。

 温雲松氏は、プライベート・エクイティ(PE、未公開株)投資会社、新天域資本(ニュー・ホライズン・キャピタル)の共同創設者の一人。10月15日付けの香港メディアの報道によれば、この投資会社は、香港株式市場での新規株式公開(IPO)を控えた中国本土の医薬品メーカー、四環医薬の株式を低価格で取得。その後、規定違反の指摘を受けて四環医薬が株式を買い戻したため、温氏は「どさくさにまぎれて数カ月で3億7千万元を儲けた」とされている。

 これに対して中国共産党5中全会が閉幕した18日、新天域資本は「報道は事実を歪曲している。取引は香港証券取引所の規定に則っている」との声明を発表。温雲松氏については、「2009年の時点で当社のいかなる職にも就いていない」と説明した。現在、温雲松氏は、国有企業である中国航天科技集団傘下の中国衛星通信集団有限公司の副董事に就任しているという。 

 英フィナンシャルタイムズ紙は、温雲松氏に近い人物の発言を引用して、「温雲松のファンド辞職は、父親である温家宝首相が政治改革を推進するため、潜在的なスキャンダルの芽を摘み取ることが目的。父親が政治改革を主張しているのに、一方で息子が大儲けしているとなればイメージが悪い」と指摘した。

 温家宝首相はこのところ8度も政治改革に言及し、9月下旬にはCNNのインタビューに対して「政治改革の推進を、雨風に負けず、死ぬまで頑張り続ける」と述べた。中国共産党にとって政治改革は非常にデリケートな問題だけに、党上層部からの温首相への圧力も大きいと見られる。


 また、新天域資本については以前から批判があり、もし同様に共産党幹部の子弟が手がけるビジネスがあまり派手に成功すれば、たとえ具体的な不当利得や特権濫用がなかったとしても、権力を握っている親の世代の政治生命に影響を及ぼしかねないと指摘されてきた。(編集担当:中岡秀雄)

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