上海市消防局の陳飛局長は16日午後、同市で15日に発生した高層住宅の火災についての記者会見に出席し、外壁の修理作業のために組まれていた足場が可燃性の網で覆われており、踏み板も竹製だったことで、急速に火が広がったとの見方を示した。中国新聞社が報じた。


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 同建物は地上28階建て。外壁の修理や断熱材の追加のために組まれた足場が、建物全体を覆っていた。

 上海市公安局の程九龍副局長は、10階の作業現場で規則に反して行った溶接作業による火花が可燃物に引火して火災を発生させたとして、10人の身柄を拘束して取り調べを行っていることを明らかにした。

 陳局長は、短時間で大きく燃え広がった最大の原因として作業用の足場を挙げた。足場を覆う網はナイロン製で、踏み板は竹で、いずれも可燃性だった。火は上下方向に燃え移り、極めて短い時間内に建物全体を立体的に覆った。風も強く、炎をあおったという。

 住居の火災は、オフィスビルと比べ、建物内の可燃物が多い特徴もあり、高齢者や児童など、すばやい行動が難しい人も多い。中国のマンションやアパートでは、居住者がドアの外に「防盗門」とよぶ鉄格子を取り付けることが一般的だが、陳局長によると、各世帯に「防盗門」があったことも、救助作業を難しくしたという。

 同火災で53人が死亡した。呼吸器などに重傷を負い入院している人は16日午後4時現在、15人。容体は安定しているが、持病を持つ高齢者も多く、予断を許さないという。
(編集担当:如月隼人)

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