日本の国会に相当する全国人民代表大会(全人代)が、刑法修正案の作成を進めている。高齢者に対する死刑の適用では、賛否両論が出たという。
初期の草稿では「75歳以上の場合、死刑を適用しない」の1文が盛り込まれていたが、8月に行われた全人代常務委員会の審議では、「人々を誤った方向に導くもの」などの異議が出た。
その後、改正案について一般から意見を求めたところ、「敬老の伝統と人権保護の理念から、『70歳以上は死刑適用不可』とすべきだとの提案も寄せられた。
一方、インターネットでは「中国は高齢化社会に突入している。人々の寿命が延びつつある現在、75歳以上であっても凶悪犯罪を行う能力は十分にある。一律に死刑適用の対象外にすれば、犯罪の増加を招く」などの意見も目立った。
そのため、現在の修正案では「被告が裁判時に満75歳になっていれば、死刑を適用しない。ただし、特別に残忍な手段を用いて他人を死亡させた場合には、死刑の除外対象にはしない」との内容に改められた。高齢者への配慮を盛り込みつつ、実質的には「死刑適用もありうる」との法案になった。
法律の専門家は、高齢者への人道主義精神を明文化した上で、現実社会の複雑な状況をも配慮した内容だとの見方を示した。(編集担当:如月隼人)
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