鉄製の容器に米やトウモロコシなどを入れ密封して加熱する。ころあいを見て容器のふたを開けると、穀物の粒にわずかに含まれる水分が一気に気化して、「バン!」という腹に響くような音を出す。取りだせば、最初は硬い粒だった材料が大きく膨らんでサクサクになっている。これが「ポン菓子」だ。
中国では「爆米花」が実質的にポップコーンを指すようになった。店頭にある機械は連続してトウモロコシを加熱するので、次々にはじける音はするが、一気に“爆発”する音は聞こえない。ポップコーンを買い求めながら、「そういえば最近、あの音を聞かなくなったな」とつぶやく人もいる。
安徽省合肥市に住む陳さんは、旧式の「ポン菓子」製造機を手に入れ、街かどで商売を始めた。燃料は練炭だ。中に入れた材料が焦げつかないよう、鉄製の容器を火の上でぐるぐるとまわす。ころあいをみて火から容器を下ろし、ふたを開けると、「バン!」――。これでできあがりだ。
多少「ハイテク」めいた点と言えば圧力計が装着されているぐらいで、「完全に伝統的製法」という。爆発音で陳さんが「ポン菓子商売」をしていることに気づき、子どものころを思い出して、懐かしさのあまり買い求める人も多いという。(編集担当:如月隼人)
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