中国産月餅はここ数年、フランス、ドイツなど多くの国による「安全障壁」に阻まれている。特に今年はその傾向が激化し、輸入の全面禁止が33カ国と昨年の16カ国から倍増したほか、30カ国あまりでも輸入に対して厳しい制限を設けたことを紹介した。
中国国内の主な月餅生産地である広東省の検疫局は、8日までに輸出された月餅は1501トン、1125万米ドルと発表した。記事は、前年よりやや増加しているものの「増加ペースは以前に比べて明らかに失速した」と分析した。
「月餅包囲網」拡大の原因はどこにあるのか。同局関係者は欧州連合(EU)や日本などの添加物基準が中国国内基準よりはるかに高いこと、多くの国が餡(あん)に肉や卵黄の使用を禁じていることにより、中小生産企業が要求を満たせないでいるという状況を説明した。
同省広州市社会科学院の彭澎研究院は「小型化、低糖化、多様化を進め、欧米の栄養基準に合わせること。同時に速やかに業界規格を作ること」と事態脱却の案を提示。一朝一夕には進まないことから「国が規格づくりを重視すること」を求め、国家事業として月餅の国際化を速やかに実現すべきと論じた。
厳しい輸入基準のほか、原料価格や人件費の高騰、人民元値上がりによって、月餅輸出企業の利益は減る一方だという。中国文化の代表選手とも言える月餅が世界の信頼を回復するまでの道のりは、遠い。(編集担当:柳川俊之)
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