魚や亀、小鳥など生きた小動物を自費で購入して放す行為は「放生」と呼ばれる。中国の仏教徒は「生き物に対する慈悲の行為」として「放生」を重視する場合が多い。
「放生」の代行業者もいる。その1人によると「(依頼を受けた分をまとめて)10月1日には500キログラム、2日には1トン、3日には1.5トンを後海に放した」という。
「一括放生」が終わったとたん、“にわか漁民”が網や釣り竿を手にして押し寄せる。フナを十数匹捕まえた男性は「毎日、大漁だよ。連休中はずっと、魚を食べられる」とにこにこ顔だった。
「放生」のあまりの多さに頭を抱えているのが、池の清掃担当者だ。放されてすぐ死ぬ魚も多く、毎日、大量の死骸(しがい)を処分している。
今のところ「放生」に対する規制はないが、市水政観察大隊の職員は「川や湖、池に魚や亀を放生してほしくない。養殖された魚を購入して放しても、生きていく能力が乏しいのですぐに死んでしまう確率が高い。そのため汚染の原因になっている。また外来種が放される場合もあり、生態系を乱す原因にもなっている」と述べた。
これまで「放生」が多かったのは中国人にとって年越しとなる旧暦の正月だったが、今年(2011年)は国慶節連休にも激増したという。
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◆解説◆
中国では熱心な仏教信者が急増している。そのため「放生」も増加中とみられる。漢伝仏教(漢族に伝わる仏教)だけでなくチベット仏教を信仰するようになった漢族も極めて多い。
チベット仏教の高僧のひとりによると「社会の変化があまりにも激しく、心が壊れてしまった人が多いようだ。仏教の修行だけでなく、まず人間性を取り戻せるよう指導している」という。
故郷を離れて山間部にある寺院で暮らし、修行を続ける人も激増した。
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