このライブは、11月13日からロサンゼルス現代美術館(MOCA)で始まった、ケネス・アンガーのレトロスペクティブ展のオープニングイベントとして行われたもの。近年、ファッション業界もケネス・アンガーに注目し、昨年はヴァレンティノのショーやミッソーニのキャンペーンに映像を提供。最近では、幼少時代から好きだった銀色の飛行船をモチーフにした短編『エアシップ』も完成したばかり。
そんなケネス・アンガーの集成『マジック・ランタン・サイクル』が、12月3日から公開される。これは数十年にわたり幾度も改訂を重ね、1980年に最終完全版のフィルモグラフィとしてまとめられたもの。神や道化師、武骨なバイカーたちといった登場人物からなる9本の作品は、ハリウッド黄金期への憧憬(しょうけい)と、現実の世界への疑い、居心地の悪さのようなものを重ねあわせ、ロマンチックに仕上げられている。
今回の『マジック・ランタン・サイクル』の上映では、通常プログラム以外に、川勝正幸、柳下毅一郎、滝本誠、Mari Mari、釣崎清隆、五所純子ほか10名のセレクトによるプログラム“あの人が選ぶケネス・アンガー”も決定している。また、劇場では、ケネス・アンガーに魅せられたデザイナーやアーティスト6名(スケートシング、伊藤桂司、鈴木ヒラク、服部一成、河村康輔、いすたえこ)が、『マジック・ランタン・サイクル』をモチーフにビジュアルを考案したTシャツが発売される。
ケネス・アンガー『マジック・ランタン・サイクル』は、12月3日より渋谷アップリンクほか、全国順次公開。(編集担当:駒井憲嗣)