悲しいことに加賀さんは、2013年7月に病気で他界してしまったが、彼の残した楽曲や思い出はメンバーによって歌われ語られている。それをファンはしっかりと受け止めているのだ。加賀さんの存在は偉大で永遠だと実感できた中、観客から集めたTHE GOOD-BYE(ザ・グッバイ)の曲のリクエスト結果が発表された。1位に輝いたのは「Misty Night」で、「実はデビュー曲用に作ったんです」と、曾我が明かした。
続いて衛藤が野村のパートを引き受け、「モダンボーイ狂想曲」も歌った。1983年にデビューし90年で一旦活動を休止した、ザ・グッバイ。ポップな楽曲の数々はあせることなく、最盛期を知らないファンが増えてはいるが、30年間聞き続けているファンは本当に多い。過去にザ・グッバイの音楽に触れた経験があったら、ずっと好きでいられる……と感じたリクエスト・タイムだった。
1人でステージに残った曾我が、ピアノで「君の歌」と「優しく強く」を弾き語り。しっとりムードながら、歌声は力強かった。ソロ活動を代表するバラード2曲、だったからなのだろうか。
終盤は「愛を育てよう」で手の振り付けがあり、「DanceX3」ではコーラスを、「気になる女の子」は色っぽく音程をつけた歌声をと、観客へ参加を呼びかけた曾我と衛藤。観客全員が見る見る笑顔になり、曾我のリードに従ってリズムに乗りながら歌った。まさにライヴの楽しさを実感するシーン! ステージと客席という関係性は消え、曾我泰久と衛藤浩一……そして2人を愛し支えている観客で、音楽と空間を共有できたハッピーなひと時だった。
「ハダカノココロ」、「Yes!Yes!!Yes!!!」というメッセージ性のあるノリのいいナンバーのアコースティックバージョンで一旦終了したが、アンコールの声に応え曾我が再び登場。「ゴールデンウィークに楽しい時間を一緒に作ってくださって、ありがとうございます」とお礼を伝え、3ピースバンド【The Paisleys(ザ・ペイズリーズ)】のアルバムを制作中だということ、そして30周年イヤー継続中のザ・グッバイでも新しい音楽を届けたいなど、熱く語った。
1人で「春風を誘うから」を歌った後に、ツアーの相方・衛藤を改めて紹介。「長く一緒にいるとイラッとする」と言いつつも、こぼれた笑顔から感謝の気持ちがあふれ出ていた。ラスト曲は宇宙をテーマにしたザ・グッバイ時代の、「浪漫幻夢(Romantic Game)」。約3時間を記録したこの日のライヴは演奏にボーカル、そしてトークまですべてが、2人の力が合わさった作品だった。4人編成のザ・グッバイだが、曾我&衛藤コンビのアコースティックなザ・グッバイも、音と曲に2人の個性がとけ込み素敵なユニットになっていた。
全国のファンが秋の再会を期待する中、それを待たずして7月6日(日)には【はっつぁん祭~加賀八郎メモリアルチャリティーLIVE~】(会場:東京渋谷 duo MUSIC EXCHANGE)に揃って出演。一周忌を迎えた加賀さんが生みだした音楽を、仲間たちが演奏して歌うにぎやかなライヴらしい。曾我と衛藤のほかにも多くのミュージシャンが参加し、収益の一部が日本骨髄腫患者の会に寄付されるスペシャルなイベントだ。
加賀八郎、野村義男、衛藤浩一、曾我泰久という4人のミュージシャンが青春のすべてを注ぎ込んで創り上げた、ザ・グッバイ。深い絆でメンバーが結ばれているだけに、30周年の記念アルバムを始め、これからもいろいろと楽しませてくれそうだ。(取材・文責:饒波貴子)(曾我泰久の公式サイト「http://soga21.com/」)(写真は「イクセルエンターテイメント」提供)
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