日本人の目で見て、「インドの軍隊食」は特に変わったものではない。1枚目の写真を見ると、料理や主食を入れるくぼみのあるプレートに盛りつけられているが、中央の最も大きなくぼみには、いわゆる「具入りのカレー」が盛られており、左側には白米とチャパティー(インド式の平焼きパン)」、右側にはもうひとつの「おかず」と味付けヨーグルト。さらに、青唐辛子2本が添えられている。
写真は計51点あり、各兵士のプレートに盛り付ける前の鍋に入った料理もある。ただし後半部分は中国の軍隊食や士官学校での食事が紹介されている。たしかに色彩面では炒め物の多い中華料理の方が鮮やかだが、「中華網」の「インド軍の料理」紹介は、あまりにも悪意と無知に満ちているとしか言えない。
寄せられたコメントで、「いいね」が多かったのは「中華網」に対する批判だった。日本時間の15日正午現在の第1位から3位までは「そんなものを持って来て比較する必要はないのでは? よい物を食べれば戦闘力が出るのか? ましてや、民族それぞれで食習慣は違うではないか」、「中印国境の無人地帯の解放軍は、飲む水も川の水。
ただし、「いいね」が第5位だったのは「インド軍の食事」について、「気持ち悪いなあ! 全部が黄色に染まっているのを見て感じるのは……! オレは吐いちまうよ!」と主張する書き込みだ。
全体を見れば、「他の民族の食べ物を馬鹿にすべきでない」、「軍を食事で比較しても意味がない」といった、「中華網」を批判する書き込みが多い。
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◆解説◆
中国人の間で、インドに対する感情はあまりよくない。大きな原因に、両国間に国境問題が存在することがある。両国は過去に、国境紛争によるかなり大規模な戦争を起こしたことがある(中国側が侵攻)。中国政府は現在、インド政府に対する強い非難を控え、関係構築を呼びかけている。しかしその一方、宗教問題などが根底にありインドと対立関係にあるパキスタンとは極めて親密な関係を維持している。
中国人の間では、インドを見下す感情もかなり強い。中国人には、国や民族の「上下」をつけたがる発想が強いと言える。
19世紀末からは「欧米列強などの優勢」を認めざるをえなくなり、「自らが世界のトップ」との考えは低下していった。しかし現在も、国や民族の単純な上下比較をするくせは残っている。つまり「わが国とA国で、ある面ではわが国が勝り、別の面ではA国が上」といった複合的な判断/評価が苦手だ。
インドについては「歴史があるのは認めるが、経済はわが国の方が上。文化面でもわが国が上。科学技術ではIT部門など一部を除いては、わが国が圧倒的に上。国際政治でも安保理常任理事国のわが国が上」との考えが土台にあり、インドやインド人を一方的に見下す人がめずらしくない。
また、現在ではさほどでもないが、中国では2000年ごろまで「カレー」を苦手とする人が多かった。インド料理で使われるスパイスは、中国で使われている伝統生薬(日本風に言えば漢方薬)でもある場合が多く、カレーやインド料理の中のスパイスの香りをかぎとって「これは薬だ。おいしくない」と感じる人が多かったからだ。
日本のカレーは、英国経由でもたらされたとされる。インドでも、北部では小麦粉を主食とする場合が多いが、英国は最初に、米食が盛んなインド南部に勢力を伸ばしたため、英国にもたらされた「カレー」料理は米飯を付け合せとするものだった。そのため、日本人も「英国経由のカレー」は比較的受け入れやすかったと考えられる。
日本ではカレーが、大量調理が容易で具材の利用で栄養豊富にできるということで、軍隊食に取り入れたことで、カレーがさらになじみのある料理になったとされている。
なお、ウスターソース(ウスターシャーソース)も英国から日本にもたらされ、「とんかつソース」などの亜種を生み出しながら、日本人にとって「なじみの味」となった調味料だが、ウスターソースも英国人が「インドの味を再現」しようとして商品化された調味料という。日本にとってはウスターソースも「インド発、英国経由の味」ということになる。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:123RF)
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