過激派組織「イスラム国」による邦人人質事件で、拘束されていたフリージャーナリスト後藤健二さんが殺害されたと報じられていることについて、中国メディアの新聞晨報は3日、「なぜ後藤さんには日本で同情が集まっているのだろうか」と論じる記事を掲載した。

 記事は、日本人が個人の行いによって海外で過激派組織に拘束された場合、通常であれば「国に迷惑をかけたとして批判が殺到する」と伝える一方、後藤さんには「同情の声が殺到している」とし、その背後にはジャーナリストとして“戦場の苦しみ”に関心を持ち、命をかけて報道を続けてきた事実があると論じた。


 続けて、後藤さんと湯川遥菜(はるな)さんがイスラム国に拘束されたことが伝わった当初、「日本の世論は批判ばかりだった」とし、あくまでも個人の責任だと指摘する声が多かったと主張。湯川さんと後藤さんの親族が「ご迷惑をおかけした」と謝罪したほどだったと伝えた。

 一方で、事態の進展とともに、日本人の後藤さんに対する批判の声は同情の声に変わっていったとし、さらに「I AM KENJI」、「私は健二」と書かれた紙を掲げて写真を撮影、フェイスブック上に掲載する活動も行われるほどになったと紹介。さらに、「I AM KENJI」の紙を掲げる人びとが首相官邸前に集まり、後藤さんの救出を求めたことを紹介した。

 また記事は、後藤さんの経歴を紹介し、「自分のお金で戦火にさらされた人びとをカメラに収め続けた」、「戦争のもとで生きる人びとの暮らしを世界に伝えてきた」と紹介。さらに、後藤さんの言葉として「戦争は、人間の心に深い切り傷をつけ、本来豊かである人間の感情を複雑にこんがらがった糸のように狂わせてしまいます」と報じた。

 続けて、米国の定期刊行物「The Atlantic」の後藤さんに対する評価を引用し、「後藤さんは、戦争で苦しむ子どもたちの苦境を伝えることに一生を捧げた」と伝え、後藤さんのこれまでの行動が知られるに連れ、日本国内での批判は同情に変わったとの見方を示した。(編集担当:村山健二)


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