ジャッキー・チェンに憧れるあまり映画業界入りを目指し、生まれ育った沖縄から東京へと拠点を移した与座よしあき。日本映画学校俳優科を卒業し、お笑いコンビ「ホーム・チーム」のボケ担当として活躍。
コンビ解散後の2010年以降は、ピン芸人としてまた俳優として活動中だ。好評の単独ライブ「ぐるりよざ」の4回目沖縄公演を終えた感想、近況など聞いてみた。

――2月の沖縄単独ライブは大入り満員! 大成功でした。感想から聞かせてください。

 お客さまのノリのおかげで成功しました! 去年11月の東京単独ライブからかなり練り直して新ネタを作りましたが、地元沖縄で発表できたことを嬉しく感じています。たくさんの方に来ていただき、ほぼ全員の方がアンケートに答えてくださいました。
感謝の言葉しかありません。

――お笑いに留まらない、「与座よしあきワールド」を見る事ができた舞台でした。豊かな表現力でエンターテイナーとしての存在感を放っていましたし、温かで可愛いお人柄も伝わってきました。

 女性にも男性にも「可愛い」と言われますが(笑)、実はネタは意外に怖い話もあるんですよね。自分で作るネタは、基本的に悲しい人が好きなんです。例えば「レスラー」を演じたネタがありますが、新団体を設立して門下生を募集して一年経っても誰も入ってこない。
どんどん特典を付けていくんですが、お金を使っちゃって最後にはアルバイトをする悲しい人なんです(笑)。

――確かに悲しいネタがいくつかありました。スケールの大きな「ロボライフ」は見応えがあり、いろんな役を細かく演じ切っていて特に印象に残りました。

 お笑いライブでは考えられないような、20分間の長いギャグです。元々は40分位あってロボットと老夫婦の関係をより深く描いていますが、短くしました。このネタは、今後もいろいろなパターンで演じていけると思います。


――ほかにも教師、侍、チンピラなどいろんな役を演じ、世界観がそれぞれ違いました。そして映像にBGM、自筆のイラストと与座さんのこだわりが伝わり、1つの作品として鑑賞しました。

 いろいろな笑いがあって良かった、という声をいただきましたね。全部1人で作っているので、面倒だったり大変だったりしますが、結局は楽しいです(笑)。故郷・沖縄での公演は、親族や友達が見に来ますが、ステージが始まると、正直言って気になりません。みなさん全員にしっかりと見せられるように、という気持ちで立つんです。


――最近の活動について教えてください。

 舞台、ドラマや映画と今は役者としての活動が多いです。レコーディングやライブで友達のサポートをするなど、沖縄三線を弾く機会もあります。ネタをやっている時が一番楽しいので、聞かれた時は“基本はお笑い”と答えますが、正直どちらでもいいんです。芸人を目指していた訳ではありませんが、やっぱりネタは楽しい! クリエイティブな過程を楽しんでいるのかもしれません。

――与座さんと言えば、「ジャッキー・チェン」さんに大きな影響を受けてきたというエピソードが外せませんが、なぜそんなにジャッキーが好きなのでしょう?

 なぜでしょうか……はっきり言えるのは、いろんな意味ですご過ぎる人物だからです。
子どもの頃はアクションすごい、かっこいいと憧れていたレベルでした。でもお笑いというジャンルながら芸能界に入って、ネタを作って人前で演じて反応を見る経験をし、ジャッキーのすごさをより深く理解したんです。

  ステージやランクは違いますがこの人やばいな、すごいなってどんどん思いましたね。近付きたいけれど差が開く感覚です。映画も見れば見るほど奥が深い。世界各国にはたくさんのアクション映画がありいろいろな俳優が演じていますが、ジャッキーだけ群を抜いています。
感情を顔で表現し、敵との向き合い方や戦い方まですべてを、ジャッキーは動きながらきちんと演じているんです。

 他の俳優さんは、見せ場のアクションと演じる部分がつながってないと感じます。ジャッキー1人だけ、芝居を演じる流れの中でアクションをやっているんですよね。僕自身が納得するための結論付けなのかもしれませんが、そう思うんです。

――普段もジャッキーを意識していますか?

 家にいたら映画を見始めて、ネタが書けなくなっちゃいます(笑)。最近は海外メディアが制作したジャッキーの特別番組を探して見ることも多いです。アメリカ版は見終わって、今はタイやフィリピンの番組です。日本では見られない貴重な映像があるので、探して見て楽しんでいます。

  そして、ジャッキーが新しい映画を作ってくれるおかげで僕は頑張れている、というのが絶対的な思いです。自分の作品へのこだわりや舞台に立つ姿など、完璧にジャッキーの影響を受けていますよ。表現力を褒められることがありますが、“ジャッキー師匠”のおかげです。

――最近の沖縄は芸人さんが増え、お笑いブームです。与座さんに憧れる世代が芸人になっていると思うのですが、どのように見ていますか?

 僕に憧れる人なんて、いませんよ(笑)。今の沖縄の芸人さんたちは、すごくうらやましいです。良い意味でのガラパゴス化なのかもしれない、と思いますね。東京は芸人さんがめちゃくちゃ多くて、それでも増える一方です。みんな才能あってネタも面白いのに受け皿が少なく、横並びで実力が発揮できないパターンだったりするんです。
  
  でも沖縄で活動している芸人さんは、沖縄文化というバックボーンがあり素材の味付けが違うので、いい意味で面白い味に仕上げています。東京に行くと方言の壁はありますが、ネタの作りや発想は負けていないと僕は思っていますよ。

――いつか沖縄に帰りたいと考えますか?

 考えていません。もしもし戻ることがあるとしたら、多分お笑いはやらないでしょうね(笑)。最近は沖縄がロケ地の映画が多いですが、スタッフで関われたらいいですね。僕はやっぱり映画が好きなんです! 最近も仕事の空き時間ができたら、上映情報をチェックして映画館に行ってます。ジャンルも製作国も気にせず、どんな映画でも見ています。

――最後に今後の予定や目標を教えてください。

 5月22日と23日に5回目の単独ライブ、ぐるりよざ「メリーとゴーランド」を新宿のシアターミラクルにて開催しますので、ぜひご来場ください。そして近い内、海外に行きます! 僕のネタ、海外で合っているんじゃないかと言ってくれる人が多いんです。なので外国での挑戦を計画したいと思います!(取材・文責:饒波貴子)(写真はマセキ芸能社提供)


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