中国当局は、戦乱や大規模紛争が発生した地域からの自国民救出に、極めて積極的に取り組む。例えば2011年のリビア内戦時には、トラック隊派遣による陸路、海軍および民間船を投入しての海路、さらに民間航空機による空路と、考えられるかぎりのルートを用意して、自国民を救出した。
中国人には「国のウチとソト」という意識も強く、「海外で苦境に陥った同胞の救出」は中国で、政権として当然の仕事であり、同時に称賛すべき実績として受け止められている。
イエメンからの撤退では、ソマリア沖に海賊対策のために派遣されていた中国海軍軍艦が3月下旬にはイエメンのアデン港沖合いに停泊し、最終的に習近平主席(国家主席、中央軍事委員会主席)の決断で、救出作業が始まったとされる。
上海紙の東方早報道によると、中国軍軍艦は3月29日と30日の2回にわけて、中国人計571人を救出した。
中国軍艦は4月2日、現地滞在の中国人以外の外国人から要請があったとして、救出作戦を実施した。救出したのはパキスタン人176人、エチオピア人29人、さらにシンガポール、イタリア、ドイツ、ポーランド、英国、カナダ、イエメン人を含む計225人だった。船が港を離れた直後に近くでアデン市内では武力衝突が発生し砲弾が飛び交うなど、きわどいタイミングでの救出だったという。
中国海軍は2011年にリビアで内戦が激化した際にも、同国からの自国民救出作戦を実施した。ただし当時の胡錦濤主席は「自国民救出」の指示をした上で、政府に特別部署を設立して幹部閣僚を責任者にするなどで、自らが前面に立つことはしなかった。
中国における「軍のトップ」は中央軍事委員会主席で、国家主席が兼任することが通例だ。
一方で習近平主席は3月末からのイエメンからの自国民救出にあたって、自らが国家主席兼中央軍事委員会主席として海軍に軍艦派遣を命じ、「救出作戦開始」も自らが命じた。(編集担当:如月隼人)(写真は海軍によるイエメンからの自国民救出を報じた東方早報の記事)
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