「J-20」には「中国開発のエンジンが取りつけられるのでは」との見方が早くからあった。中国は1980年代半ばに戦闘機搭載も念頭に置く航空エンジン「WS-10」の開発に着手。開発は難航したが2014年には「技術は成熟」と見なせるようになったという。
中国は1990年ごろ、「WS-10」よりも高性能の「WS-15」の開発に着手したが試験段階とされる。また、情報が少ないことから、開発は難航している可能性がある。
環球網は中国の航空工業が抱える「エンジン問題」について「エンジン以外のシステムが強大でも、信頼性ある高性能なターボファンエンジンがなければ、『J-20』も『J-31』も戦闘力を持てない」と指摘。さらにJ-20の試験機が搭載するエンジンについても、「ロシアの旧式エンジン」と説明。エンジンの能力が機体全体の性能を制約しているとの見方を示した。
WS-10は中国の戦闘機「J-11」や「J-16」に搭載されているが「求められる性能は発揮できていない」との見方がある。「WS-15」が間に合う可能性は低い。そのため目下のところ、J-20に自国製のエンジンを搭載するのは諦めざるをえない状況という。
中国はロシアから「Su-35」を購入する予定で、搭載するエンジンはロシア製の中でも新しいタイプの「Al-117S」だ。
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◆解説◆
中国はロシアの「Su-27」をベースにリバースエンジニアリングで派生タイプの戦闘機を開発し、ロシアの不興を買った。Su-35の引き渡しは当初予想よりも遅れているが、ロシア側の報復措置との見方が強い。
ただし、ロシアは中国に対して、旧式のエンジン供給は停止しなかった。
中国がロシアにエンジン供給を依存していることは、中国とロシアの“全面対立”は不可能であることを意味する。ロシアが知的財産権の問題で中国を問題視しながらもエンジン供給を続けたことは、「安全保障上」の意味があったと理解できる。
中国はロシアに対する発言力を強める意味でも、戦闘機に使用できるエンジン開発を全力で推進すると考えてよい。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:123RF)
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