中国共産党機関紙「人民日報」系のニュースサイト人民網は14日、「日本のパイロットは中国の『Su-27』戦闘機を恐れている。離陸を見れば緊張」と題する記事を掲載した。
同記事は航空自衛隊の主力戦闘機である「F-15」の接近戦についての性能は「S-27」より「全面的に劣る」との見方を示した。

 記事は、2014年における自衛隊機の緊急発進(スクランブル)は943回で、冷戦時期の1984年に記録した944回にほぼ並んだと紹介。うち中国機に対する緊急発進は464回で、2001年に統計を取り始めてから最多で、同年中の緊急発進の半数近くに達したという。

 記事は続けて、那覇基地に配備されているF-15の「戦闘中隊隊長」の話として、「パイロットが最も緊張するのは中国のSu-27戦闘機に対して」、「緊急発進の際には極めて緊張し、全神経を集中させ、絶対に警戒を緩めることをしない」などと紹介した。

 さらに、「米露が冷戦終結後、Su-27とF-15の模擬空戦を行ったが、近接戦でF-15の性能はSu-27に全面的に劣るとの見方が一般的」などと主張。「したがって、日本人パイロットは、F-15がSu-27に比べて劣勢ということが分かっている」などと論じた。

 なお、中国は自国でライセンス生産したSu-27を「J-10(殲-10)」などと呼び、さらに独自に改良することで「J-11」などの「Jシリーズ」を次々に登場させている。上記記事のSu-27は、Jシリーズ全般を指す可能性がある。

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◆解説◆
 同記事にある那覇空港の空自関係者の談話だが、中国メディアのチャイナネットが2011年3月に報じた記事と、発言者氏名も言い回しもほぼ同じだ。そのため、「古い話」をそのまま使った可能性がある。

 また、スクランブルに際して、パイロットが「緊張する」のは任務の性質上、当然だ。まして相手が戦闘機ならば、特に自衛隊には「ミスや誤解による戦闘突入は絶対に許されない」との大前提が課せられている。
上記記事は、自衛隊パイロットの「緊張」を故意または無理解により「恐れ」にすり替えていると解釈できる。

 F-15の初飛行は1972年、一方のSu-27は「空戦性能でF-15を上回る」などの目標のもとに開発され、1977年に初飛行した。そのため、「F-15の初期型とSu-27が空戦をしたら、Su-27の方が有利である可能性が高い」との見方がある。

 航空自衛隊が保有しているのは、F-15の初期型を改良した「日本仕様」のF-15J。優秀な基本性能に加え、独自の近代化改修を施して、性能を大幅に向上させたとの評価がある。初飛行は1980年。なお、中国がロシアから輸入したSu-27は輸出仕様であり、ロシア軍の保有機より性能を落としたタイプとされる。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:(C)Alan Tunnicliffe/123RF.COM)


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