中国で、開発中のステルス戦闘機「J-20(殲-20)」の新たな写真がインターネット上に掲載された。機体の「背中部分」に穴2つがあることが注目されている。
「F-22」にも同様の穴があるとして、APU(補助動力装置)の排気口との見方が強い。

 中国では2012年5月に、「J-20」の試作1番機と見られる機体の試験飛行が目撃され、写真などがインターネットで公開された。その後、複数の試作機の試験飛行が断続的に確認された。中国政府・国防部は2015年2月に公開した宣伝動画にも「J-20」を登場させた。

 このところは新たな画像の発表が途絶えていたが、最近になり改めて機体番号「2013」が確認できる「J-20」の画像が紹介された。中国の大手ポータルサイト「新浪網」によると、特に注目されているのが機体中心軸の上部後ろよりの部分に、人の頭ほどの開口部が前後に並んで2つ見えることだ。


 米国の「F-22」にある同様の構造からの類推から、開口部は「APU(補助動力装置)」の排気口との見方が強い。APUは主エンジンとは別の小型エンジンで、主エンジンが故障しても電力供給を途切れさせないことができる。

 APUはエンジン始動の際にも電力を供給するので、離陸の際には地上施設への依存度を減らし、飛行中にエンジンが停止しても、再起動を試みやすくなる。「J-20」の開口部は開閉が可能と見られている。

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◆解説◆
 中国では試作や建造中の兵器類の画像などが、インターネットに掲載されることが珍しくない。投稿者は「軍事ファン」などとされるが、実態は不明。
情報統制が存在する中国における自国の安全面に関する情報なので、軍が容認あるいは宣伝したいと考える画像が掲載されると考えてよい。

 「J-20」は2018年にも実戦配備されるとの見方があるが、使用するエンジンには目算が立っていない。自国でのエンジン開発は成功しておらず、ロシア製で候補に挙げられる「Al-41F1S(117S)」は、ロシア側がエンジンそのものの輸出を拒否している。

 中国は兵器の開発や大量投入で、米国に「中国を力で押さえ込もうとしても予算面で困難」とあきらめさせる“作戦”と見なされている。「J-20」についても「順調に開発中」とアピールした方が有利だ。ただし、中国経済が減速しているため、「札びらを切っての軍拡競争」をどこまで続けられるかは不明だ。
(編集担当:如月隼人)(写真は新浪網の上記記事掲載頁キャプチャー)


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