夏本番を迎えているが、今年も8月の最後の週末に富士山の麓、山中湖交流プラザきららで開催される「SPACE SHOWER SWEET LOVE SHOWER 2015」(SLS2015)がやってくる。音楽シーンの夏の風物詩のひとつとして定着した同野外フェスティバルは今回で20周年を迎え、8月28日(金)から30日(日)までの3日間、合計60組のアーティストが繰り広げるライブ演奏を、雄大な富士山を背景に楽しめる。
同フェスを主催するスペースシャワーネットワークの執行役員コンテンツプロデュース本部本部長 エグゼクティブプロデューサー石田美佐緒氏(写真)に、「SLS2015」の見どころ等を聞いた。

――「SPACE SHOWER SWEET LOVE SHOWER」(SLS)が今年20周年を迎え、今回は「SLS」の集大成として構成される大きなイベントを企画されたそうですが、そもそも「SLS」とは?

 音楽専門チャネル「SPACE SHOWER TV」、および、「SPACE SHOWER TV plus」を全国に提供する当社は、昨年25周年を迎えました。開局以来、音楽が大好きなスタッフが、リスペクトするアーティストの素晴らしい音楽と、アーティストの表現がストレートに伝わるライブを、視聴者の方々にも届けたいと思って企画したのが「SLS」の始まりです。

 1996年に日比谷野外音楽堂でスタートしたSLSは、「SPACE SHOWER TV」の生中継ライブ番組として開催していました。フジロックフェスティバルが1997年のスタート、ロックインジャパンのスタートが2000年ですから、1日を通してライブが開催される野外フェスティバルの黎明期から開催している伝統があります。

 日比谷野音で開催していた時には、忌野清志郎さんが通算4度も出演してくださり、当時は他局では放送自粛されていた曲を、清志郎さんと相談し意志を尊重し、生中継したことにより、「アーティストのメッセージをストレートに伝える」という「SPACE SHOWER TV」の特徴を広く知っていただくきっかけにもなりました。

 また、シークレットゲストとして、桑田佳祐さんやMr.Childrenが出演するなど、一般にも話題になって人気が高まり、3000人の収容人員に対し、チケットを求める応募が約3万人になるなど、野音のキャパを大きく超えるイベントに成長したため、2007年から会場を山中湖に移し、規模を拡大して開催するようになりました。

――今では様々に開催されている音楽フェスティバルと比較して「SLS」の特徴は?

 音楽専門チャネルが運営するフェスとして、とことん音楽を楽しんでいただくイベントにしています。まず、出演者は、日頃「SPACE SHOWER TV」の番組を通して縁のあるアーティストさんばかりです。「SPACE SHOWER TV」のレギュラー番組を長年務めていただいているきゃりーぱみゅぱみゅさん、[Alexandros]、KANA-BOONにも出演いただきます。

 また、出演者はライブパフォーマンスが素晴らしいアーティストを厳選し、その全出演者のライブを全て観ていただけるタイムスケジュールを組んでいるのも「SLS」の特徴です。「SLS」は4つのステージで展開しますが、頑張って巡回すれば、全ての出演者のパフォーマンスを観ることができます。
他のフェスでは、自分のお気に入りのアーティストの音楽を聴いていると、他のアーティストの演奏を聴きそびれてしまうことがありますが、「SLS」では、全部楽しめることがポイントです。

 また、「SLS」は山中湖村と共同主催ということもあり、期間中は村を挙げて、「SLS」への来場者をもてなしていただいています。たとえば、来場者リストバンドがあれば、周辺の温泉や美術館で割引が受けられます。

 それから、富士山の世界遺産登録と共に、世界文化遺産の構成資産の1部に組み入れられている地で開催される音楽フェスとしても特徴があります。ステージの背景は富士山、山中湖の静かな湖畔で、素晴らしい自然を音楽と一緒に楽しんでいただけます。また、熱気球やカヌーなど、音楽を聴きながら楽しめるアトラクションもあります。

――今年の見どころは?

 初日(28日)は金曜日ということもあり、夏休み中の学生の方にも楽しんでいただけるラインナップを意識しました。KANA-BOON、キュウソネコカミ、SiM、ゲスの極み乙女。、SHISHAMO、THE ORAL CIGARETTESはじめ、ロックキッズにはたまらない旬なラインアップの20組です。

 2日目(29日)は、幅広いジャンルを聴く音楽ファンに楽しんでいただける出演者が多いですね。[Alexandros]、Bawdies、きゃりーぱみゅぱみゅ、レキシ、そして、活動休止のKICK THE CAN CREWが今年は、「SLS」のためだけに再結成して登場。また、THE YELLOW MONKEYの吉井和哉さんが、YOSHII FUNK Jr.名義でニューカマーステージ(FOREST STAGE)に登場。
ヘッドライナーのRADWIMPSは、アリーナで数万人を動員する若者にカリスマ的な人気があるバンドですが、この夏の関東圏フェスで「SLS」を選んでいただくなど、見どころの多い1日です。

 最終日の3日目(30日)は、音楽好きな幅広い年代層に支持されているアーティストを網羅しているのが特徴です。クリープハイプ、NICO Touches the Walls、KEYTALK、04 Limited Sazabys等の多数の若手ロックアーティスト、電気グルーヴ、Perfumeといったテクノ系アーティスト、BEGINのブルースにもぜひ触れていただきたいですね。大トリはベテランのエレファントカシマシにお願いしました。きっと感動的なフィナーレになると思います。

 それから、毎年、日本の音楽シーンに一時代を築いたアーティストを招くレジェンド枠を設けていて、今年は、3日目に25周年を迎えたBEGINさん、そして、1日目に先日還暦を迎えたギタリスト、Charさんを迎えています。若いオーディエンスは、レジェントの音楽に触れる機会が少なく、アーティストも若いオーディエンスの前で楽曲を披露する機会は少ないので、互いに良い出会いになれば、と思います。

――これからの「SLS」は?

 スペースシャワーならではのフェスとして、様々なインフラを使って情報発信をし、「夏休み最後の週末には『SLS』に行きたい」と思っていただけるようにしたいですし、アーティストには「『SLS』に出たい」と思っていただけるようなイベントに育てていきたいと思っています。たとえば、「SLS」のニューカマーステージは、スマホアプリの「スペシャアプリ」(Android、iOS対応)で生中継を楽しめます。また、3日間の模様は、特別番組として「SPACE SHOWER TV」で長時間放映しますし、アーティストごとのステージも順次放映します。また、記念BOOKも発売します。

 そして、将来の話になりますが、海外からのオーディエンスを増やしたいし、「SLS」を海外で開催するなど、海外との懸け橋に「SLS」がなっていけたら本望です。
そのためにも、素晴らしいアーティストの素晴らしいライブを届けるという「SLS」のコンセプトを崩さずに誠実に続けていきたいと思っています。

 “WE LOVE MUSIC ”というのが「SPACE SHOWER TV」のコンセプトですが、音楽を愛し、アーティストをリスペクトしているスペースシャワーが、自信を持っておすすめするアーティストのライブの集大成が「SLS」です。ぜひ、8月最後の週末に山中湖を訪ねていただき、素晴らしいライブの感動をお持ち帰りいただきたいと思います。(編集担当:徳永浩)


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