ドイツ最大の鉄道会社であるドイチェ・バーンの関係者は5月、ドイツメディアに対して今後、中国の鉄道関連メーカーから鉄道車両や部品を購入する可能性があることを示唆し、中国製が低品質であるという時代はすでに過去のものになりつつあると述べた。
記事は、ドイチェ・バーンの関係者の発言に対し、ドイツ金属産業労組はドイツ政府に宛てた書簡において、「中国製の車両を導入することはドイツの鉄道産業の発展にマイナスとなる」としたうえで、「大量のドイツ人が失業することになると訴えた」ことを紹介した。
さらに、ドイツの鉄道産業界からは中国製の車両や部品導入ついて、絶えず「警告」の声があがっていたと伝え、ドイツ金属産業労組の関係者が「ドイチェ・バーンが税金を使って中国製品を購入することには賛同できない」と反発していることを紹介。また、ドイチェ・バーンが中国から車両や部品を購入すれば、ドイツの鉄道関連企業は価格競争に巻き込まれ、負のスパイラルに陥る恐れがあると述べていることを紹介した。
中国の鉄道産業は近年、確かに目覚ましい成果を挙げている。米国市場への進出にも成功している中国の鉄道産業だが、その強みはやはり価格競争力にあるといえる。中国では2011年に高速鉄道の衝突事故が起きた時、それまで工事期間や鉄道技術や車両の速度といったことへの関心が高かったものから、安全性や管理体制に目が向けられるようになった。鉄道という不特定多数の人びとが利用する交通インフラにとって本当に重要なものは価格よりも安全性であるはずだ。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:(C)isaac74/123RF.COM)
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