記事は、中国政府・外交部の華春瑩報道官が2日、同礁にて「空港設備が民間航空基準に適合するかどうかの飛行試験」を実施したことを明らかにするとともに「完全にわが国の主権の範囲内にて行われたことであり、ベトナム側による非難は受け入れない」とコメントしたことを紹介。
この発言には、南シナ海においてもっとも重要な「島の空港」がすでにできていること、同海域における「正常な建設や活動」が外部からの制約を受けないこととう2つの意味が込められていると解説した。
そのうえで、空港の完成は駐在者の生活を便利にするのみならず、「海上の前線基地」の完成によって同海域における実効支配が強化されると説明。フィリピンやベトナム、米国が戦闘機などを配備して挑発する状況に対して「一たび有事となれば、速やかに守りの兵力を強化することができる」とした。
さらに、空港の滑走路施設を利用することで哨戒機、対潜哨戒機が南シナ海全域を巡航することが可能となり、戦闘時には爆撃機も滑走路を利用して同海域の制空権、制海権を奪取できると説明した。
これまで、同礁を埋め立てた人工島において3000メートル級滑走路の建設が進んでいるという情報が米英のメディアやシンクタンクから出され、衛星写真が公開されてきた。外交部の発言からはあくまでも民間利用を前提としたものという建前が伺えるが、フィリピンやベトナム、米国に対して同海域における軍事的優位を確保するという大きな目的が存在するのは明らか。今後、周辺国による反発の声がさらに高まることになりそうだ。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)
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