富裕層の拡大に伴い、日本をはじめ外国を訪れる中国人観光客が急増している。そのインパクトがあまりに大きすぎるからか、中国のインバウンド業界の存在感が今一つ目立たなくなっている。
しかし、その理由は本当にアウトバウンドの「爆増」だけなのだろうか。

 中国メディア・東方財富網は26日、インバウンド観光市場の発展に力を入れている日本が「どのように外国人観光客を呼び込んでいるのか」について論じた記事を掲載した。そのなかで、「強いブランド力」構築を目指した、国・地方・企業によるパッケージ・イメージづくりが大切な要素の1つになっていると解説。日本政府は「クール・ジャパン」計画のもと、特色ある地方企業の海外市場開拓を支援し、各地方自治体や企業も自らのブランドを重視、世界各地の消費傾向などを収集したうえで、それぞれ異なる手法で宣伝を仕掛けたり、製品の改良を施したりといった工夫を凝らしているとした。

 そのうえで、中国が大量の伝統文化を持つと同時に、華為(ファーウェイ)や青島ビールなど活力ある「民族ブランド」が続々と出現するなか、「いかにしてブランドイメージをパワーに変え、国際市場を開拓して世界から注目の目を浴びるかが、中国政府と観光業界にとって重点的に考慮すべき問題となっている」と論じた。

 世界遺産を数多く持ち、風光明媚な場所も枚挙にいとまがない。そして、世界的に有名な食文化を持っている。まさに観光資源の宝庫といった感がある中国だが、土産物の押し売り、ぼったくり、文化財保護意識の欠如など、自らイメージを貶めている部分が多々ある。資源の宝庫と言えば、中国は世界的に貴重なレアアース資源も圧倒的な埋蔵量を誇るが、不法業者の乱開発によって資源の浪費、環境汚染を引き起こしている。観光業界もレアアース業界も根底に抱えている問題は同じかもしれない。

 また、宣伝方法がいささか自慢的な傾向に陥りがちな点にも注意しなければならない。記事が紹介した「世界各地の消費傾向を収集し、これらの情報に基づき製品に改良を加え、的確な宣伝手法を取る」ことを上手くできるかが、中国がより一層の「ブランド力」を持てるかのカギと言えそうだ。
中国には確かに優れた伝統文化コンテンツが豊富にある。しかしそれを「長い歴史を持つ」から素晴らしい、「中華民族の知恵と努力の結晶だ」から素晴らしいなどと宣伝されても、世界の心には響かないのである。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF) 


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