黄安さんは台湾出身の歌手だ。現在は大陸に住んでいる。
台湾で「今、最も注目されている歌手」と言ってよいだろう。台湾に「里帰り」するとの情報が入った。台北市の桃園空港に3日に到着とされた。作家の馮光遠さんらが、「出迎え団」を結成した。呼びかけに答えて、一般市民も同日、桃園空港に足を運んだ。

 出迎え団は、大きな「青天白日旗」を用意した。黄さんが姿を見せたら、全員で「国歌」を歌う計画を立てた。

 台湾でやや忘れられていた黄安さんを、再び一気に有名にしたのが、2015年暮れに発生した「周子瑜事件」だった。周さんは、韓国のアイドルグループ「TWICE(トゥワイス)」のメンバーとして活躍している。事務所は2015年、「TWICE」の各メンバーを紹介する動画を公開した。

 出身地を示すために周さんが持っていたのが中華民国(台湾)国旗の「青天白日旗」だ。これに黄安さんが噛み付いた。
「台湾独立派だ」と非難した。すると中国人がSNSなどで、次々に周さんを非難した。とにかく人口の多い国だ。膨大な数の非難コメントが寄せられた。

 すると周さんの所属事務所は周さんに謝罪させ「私は中国人です」などと言わせた。周さんのプロフィール紹介ではそれまで「台湾」となっていた出身地を「中国・台湾」に差し替えた。

 こんどは台湾で火がついた。周さんの所属事務所や黄さんを非難する書き込みが相次いだ。1月の総統選では、民進党の蔡英文候補が国民党の朱立倫候補に事前予想以上の大差をつけて当選したが、直前に“炎上”した「周子瑜事件」で台湾人の反中感情が爆発したことが「最後のダメ押し」になったとされる。

 黄さんはこれまでにも、大陸で発生した大気汚染が台湾にまで到達した際に「台湾企業は大陸で商売をしている。文句を言うな。逆に儲けさせていただいていることに感謝しろ」など、台湾意識が強まってきた台湾人の意識を逆なでするような発言を繰り返していた。


 「周子瑜事件」の後、やや古い録画を発見して「黄安はかつて、台湾のテレビで青天白日旗を振って(台湾の)愛国歌を歌っていた」と暴露した台湾人もいた。

 台湾の通信社「中央社」によると、3日に桃園空港に集まった人々は「台姦(台湾の裏切り者)」、「〓共(共産党に媚び)」などと書かれたプラカードを持ち、“手ぐすね”を引いて待っていたが、本人が現れず、空振りに終わったという。(〓はへん部分が「舌」、つくり部分は「添」と同じ)(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:123RF)


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