日本では一時期、中国の大気汚染問題が大きな関心を集め、各メディアが大きく取り上げた。そのおかげで、日本でも大気汚染物質「PM2.5」という言葉は広く知られるようになった。


 「PM2.5」が注目されると同時に、日本でも高機能マスクや空気清浄機が飛ぶように売れたわけだが、最近は「PM2.5」はおろか、中国の環境問題が大きくクローズアップされることは減ってしまった。

 だが、中国の環境問題が解決したわけではなく、むしろ年々深刻化しているのが現実であり、中国メディアの北京晨報は中国の「金属汚染」について紹介する記事を掲載している。

 記事はまず、「鉛」による汚染の存在を紹介。である。記事は「自動車がガソリンを1リットル消費するごとに、大気中に200~400ミリグラムの鉛を排出する」と紹介しつつ、黒煙を撒き散らしながら走行するトラックの写真を掲載。中国ではこうしたトラックは今でも普通に見かける。ちなみに日本では1987年に自動車用有鉛燃料は廃止されている。一定量以上の鉛が体内に入ると、神経系や消化器系、腎臓や脳などに障害を引き起こす可能性が高いためだ。

 次に挙げたのは「水銀」だ。日本でも1956年の水俣病や1964年の第二水俣病を引き起こした有名な公害病の原因物質だが、記事は「全世界で毎年水銀が9000トン生産されており、半数以上が使用過程で自然界に排出されている」と述べている。中国国内でも多くの河川を汚染しているはずだ。中国では重金属汚染がもたらす健康被害についての知識が広く普及しているとは言い難い状況で、今でも工場排水などをそのまま河川に垂れ流すケースは中国全土で見られることだ。


 今でも中国の環境汚染は改善されていない。それどころか、中国北部で問題を起こした工場が中国南部へ移動して営業を続けるのが当たり前の状況だ。中国では水質汚染や土壌汚染によってガン患者が数多く発生する土地もあるほどで、経済成長を優先してきた中国はこれからそのツケを払わされることになるだろう。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)


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