今年の8月9日は、中国にとっての「七夕」だった。日本とは異なり、旧暦の7月7日が七夕なのである。
男女の恋にちなんだ日というのは日本と同じだが、中国では異性にプレゼントを贈る習慣がある。日本のバレンタインデーのような日なのだ。そして、よく女性が男性にプレゼントする品物の中に電動シェーバーがある。いいヒゲソリを使って、身なりの整ったいいオトコでいて欲しい、ということなのだろう。

 中国メディア・新華網は12日、日本にいる「神レベル」の技術を持つ現代の「刀匠」3人を紹介する記事を掲載した。紹介されたのは滋賀県にあるパナソニックの電動シェーバー工場で働く正木千鶴さん、川崎義孝さん、平塚真康さんだ。正木さんはプレス成形されたシェーバー外刃のごく小さな穴から不合格品を見つけるという作業を、1時間に6000枚という驚異的なペースで正確にこなし、川崎さんは微妙な力加減が要求される、モーターを支える樹脂部品の成形で卓越した技をみせ、平塚さんは1000分の1ミリメートルの誤差で研磨する腕を持つ、金型製造のスペシャリスト、と伝えている。
 
 記事は3人の仕事ぶりや仕事に対する姿勢などを紹介したうえで、「匠の精神を尊重することは、日本人が高いレベルの仕事をしようとする姿勢を保つことにつながっている。経済的な富や安定だけでなく、仕事の細かい部分から、その価値や人生の意味を体感させるのだ」とし、匠の精神がまさに日本の製造業の魂なのだろう、と結んでいる。

 政府による「匠の精神」を培うべしとの大号令のもと、新たな「中国製造業」の姿を模索し続けている中国。日本やドイツなど工業大国で技術を磨いてきた「匠」たちの仕事ぶりを紹介する記事を、中国のネット上で多く見かけるようになった。新華網が紹介した内容は、パナソニックのウェブサイト内にある3人へのインタビューコンテンツや、日本国内メディアの情報から引用したものとみられる。
内容自体は最近のものではないが、今年3月の全人代李克強首相が「匠の精神の育成」の政府方針を打ち出して以降、中国メディアにおいてその「事例探し」が活発化していることの表れと言えそうだ。

 より良い品を作って、多くの人に使ってもらい、愛してもらうことが、「匠」たちにとってこれ以上ないモチベーションとなる。記事は、正木さんが「1枚1枚自分の目でチェックした刃が商品になり、全国各地で販売されていることを考えると、嬉しさを覚える」と語ったとも伝えた。その「嬉しさ」は、自分の技術に対する自信と誇りの表れという事もできるだろう。「どこに出しても恥ずかしくない、自信のあるモノを作ろうとする精神」を持つことが、匠と称される技術者になるための第1歩なのである。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)


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