中国では「先富論」に基づく急速な経済成長により、沿海地域を中心に大きな発展を遂げた。一方で、西部の内陸地域など「取り残された地域」との格差が拡大した。
政府は今世紀に入って「西部大開発」などによる未発展地域の掘り起こしを推進するも、地域格差はなかなか埋まる気配を見せない。

 中国メディア・中国財経報は16日、日本が戦後の高度成長から現代に至るまで複数回に渡るトップダウン計画によって日本全国の発展の均衡化を試みてきたとする記事を掲載した。

 記事は、日本において1962年以降5回にわたる「全総」と呼ばれる計画を実施し、「いずれも典型的なトップダウン計画で、発展において絶えず生じる構造的な問題を和らげ、経済の活力を生む手助けとしてきた」と紹介。まず、高度経済成長の中で生じた太平洋沿岸地域とそれ以外の地域間の格差を解消すべく制定された第1次全国総合開発計画(「一全総」)では、東京・大阪・名古屋・北九州の工業地帯を通じて収入格差、地域格差の縮小を目指したと説明した。

 続いて、69年に制定された「新全総」では情報通信、新幹線、高速道路、航空、海運のネットワークや、農業、工業、物流、観光の拠点の整備、自然、人文、国土の保護と資源の適度な開発が盛り込まれたとした。さらに、77年の「三全総」では居住問題をメインとした計画が立てられ、新たな生活圏や第3次産業の発展環境づくりによる地方経済の振興が示されたと伝えている。

 また、87年の「四全総」では東京の一極集中解消に重点が置かれ、「全国一日交通圏」の構築、効率の良い物流のネットワーク・サービスづくりなどが進められたとした。そして98年の「五全総」では、従来のハード面づくりからソフト面への転換が図られ、過去の計画で構築されたネットワーク基盤のもと、行政、住民、ボランティア、企業が協力して生活環境を全面的に高めることが示されたと説明した。

 「全総」により全国的なインフラネットワークが整い、地域格差縮小への試みが重ねられてきた日本。一方で、大都市と地方の格差は確かに様々な面で存在するほか、「ストロー現象」などによって大都市はおろか東京への一極集中が進んでいることも指摘されている。

 中国では、中央政府が大局的な視点に立った発展計画を出しても、地方政府の幹部らが自己の利益や名誉欲を優先することでその徹底が難しい、という状況が続いてきた。中国の国土の広さや規模の大きさは日本の比ではなく、それゆえに地域間の格差も激しい。
中国はもとより中長期計画を立てることには長けている。必要なのは、それを徹底し実現させる力だ。今以上に強いトップダウンの力を発揮させるか、各地方の行政を担う役人たちの意識を変えるかのどちらかだろう。(編集担当:今関忠馬)(写真は中国・上海の金融センター、写真提供:(C)Song Qiuju/123RF)


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