中国メディア・新華社は23日、ノーベル賞受賞者を続々と輩出している日本の科学研究環境について、在日華人研究者の視点から紹介した記事を掲載した。記事は、日本で研究活動などに従事する3人の中華系科学者から見た、日本の研究環境の印象について紹介している。
まず、1992年に京都大学の博士号を取得し、現在埼玉工業大学の副学長を務める巨東英教授が「現在日本でノーベル賞受賞者が続出しているのは、われわれが日本にやって来たころ、日本が基礎研究を重視していたこと、研究環境が大らかで自由だったことを示すものだ」と語ったことを紹介。ノーベル賞受賞研究はおおむね研究者自身の興味や学術研究自身の意義から進められてきたものであるとしたほか、プロジェクトや経費、論文の本数のみで研究者を評価するのではなく、各方面の貢献度が総合的に評価されていると語ったことを伝えた。
続いて、筑波大学卒で、つくばテクノロジー株式会社の会長兼CEOを務める王波氏の話を紹介。ノーベル賞受賞者の多くが、必ずしも満足の行く研究環境を得られずとも長期的に黙々と研究に従事し、最終的に当該分野の大きな門戸を開く成果を出してきたと説明するとともに、研究者たちは早朝から深夜まで我を忘れて研究に没頭すると語ったとした。
さらに、国立研究開発法人産業技術総合研究所の首席研究員である周豪慎教授が「日本の多くの基礎研究者は粛々と自分の仕事をする。必ずしも大きな成果や利益を求めない」と語るとともに、今のノーベル賞受賞は20年余り前に行われた研究作業の成果であり、ノーベル賞級の研究成果を出すには「数代にわたる努力と不可分なのである」と論じたことを伝えている。
相撲界には「3年先の稽古」という言葉がある。目先の勝利や結果に執着することなく、3年先に成果を出せるようみっちり基礎トレーニングに励むべし、という教えだ。これになぞらえて言えば、ノーベル賞を受賞するような研究成果は「20年先の基礎研究」となる。まさに、研究者が一生をかけて取り組む大仕事なのだ。
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