かつては、日本のどの家庭にもあった鋳物の鉄瓶や急須。しかし、最近ではすっかり見かけなくなったのではないだろうか。
ところがこの鉄瓶が、海を越えて海外で人気になっているという。特に中国の富裕層の間で人気が高いようだ。中国メディアの今日頭条は27日、中国のオークションで日本の鉄瓶が高値で取引されていると紹介する記事を掲載した。

 記事によると、中国では日本の伝統的な文化が人気を集めているという。なかでも、江戸時代に岩手県盛岡市で生まれた「南部鉄器」は、およそ400年の歴史がある伝統工芸で中国人に大人気となっている。しかし、南部鉄器をはじめとする日本の鉄瓶が中国で知られるようになったのは、比較的最近のことだという。

 記事は、上海のオークションで最初に登場したのは2008年だと紹介。その後、出展される件数も落札額も年々上がっているという。最初に落札のあった年は11件落札され、最高額は35万8000元(約586万円)で、翌年には金龍堂名人の初代大国寿朗氏の作品が95万2000元(約1560万円)、2012年には亀文堂の初代波多野正平氏の鉄瓶が149万5000元(約2450万円)で落札されたと紹介。こうしたオークションを通して、日本の鉄瓶の良さが中国の骨とう品愛好家らに広く知られるようになったと伝えた。

 では、これだけ高額な鉄瓶のどこに中国人コレクターらは魅かれるのだろうか。記事は、「同じものが2つとない」という希少価値を指摘。
鉄瓶は職人による手作業で作られるため、完成品はそれぞれすべて異なっている。また、鉄という材料ゆえ戦時中には製造の中断を余儀なくされ閉鎖に追い込まれたことや、現在では当時の技術を知る職人がほぼ絶えてしまい、価値のあるもののほとんどが戦前に作られたため、数が少ないのだと伝えた。現存するものは半数にも満たず、現在も作られてはいるものの、そのほとんどが工業製品や土産用に作られており、戦前のものとは全く異なるとしている。

 こうした日本の伝統的な工芸品の良さが、海外でも理解されるようになってきたのはうれしいことである。日本の茶道は中国の唐文化に由来し、日本の茶文化は中国とも無関係ではない。そういう意味でも中国人コレクターらの興味をそそるのかもしれない。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)


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