
一つ目の要因として、中国人の貯蓄率の高さが挙げられる。中国では年齢にかかわらず全体に高貯蓄である。その背景には「生活を質素にし、無駄遣いをしない」という伝統的な価値観があるからだ、と専門家は分析している。この高貯蓄・低消費の傾向には、健康保険や年金制度などがまだ十分に整備されていないことへの懸念から、老後の資金を貯蓄することも背景にあるに違いない。
さらに、家族の結びつきが強いこともその原因の一つと指摘している。中国では家の購入に家族三世代がかかわることがざらだ。孫夫婦とそれぞれの両親、さらには祖父母までがお金を出し合い家を購入することも多い。実際、中国人が最初に家を購入する平均年齢は27歳で、米国平均年齢の38歳と比べてもかなり若い。中国では「家を購入するには6つの財布がある」との言葉もあるように、家の購入にあたり夫婦本人たちとそれぞれの両親や親族の財布をあてにしている。子どもが結婚して独立している高齢者世帯世帯でも、子どもの住宅購入のために貯蓄せざるを得ない状況のようだ。