
記事は、屋久島に生息するヤクシカがニホンジカでは最も小さい亜種の部類に入り、その個体数は島の人口よりも多いおよそ2万頭とされていると紹介。そして、現地では「鹿肉」の看板を掲げている店を必ずと言っていいほど見かけるとし、「特別な品種であるヤクシカを食べることができるのは、なぜなのか」と疑問を提起した。
その上で、現地では1970年代以降ヤクシカによる耕地や植物の破壊が深刻になっており、個体の増え過ぎに伴う被害を防ぐために、合法的にヤクシカを捕殺し、食用とすることができるようになったと説明。屋久島は1993年にユネスコ世界遺産リストに登録されており、屋久島世界遺産地域科学委員会が2010年にヤクシカに関するワーキンググループを作って、自然生態システムへの影響に対処すべく島のヤクシカの個体数を調整するプランが示されたとしている。
一方で、ヤクシカは保護対象となる野生動物であるため、捕殺する場合は様々な条件を満たしたうえで行う必要があるとも説明した。
記事はまた、ヤクシカと屋久島に生息するニホンザルの亜種・ヤクシマザルとの奇妙な関係にも言及。ヤクシマザルの群れがヤクシカ数頭についていく様子や、ヤクシマザルが食べ残して捨てた食べ物をヤクシカが拾って食べる様子、さらには、ヤクシマザルがヤクシカの背中に乗り、ヤクシカも全く嫌がらない様子などを観察することができるとし、このような神秘的で緊密な関係は、今なお重要な研究課題になっていると伝えた。