和風カップ麺と言えば、今年発売45周年を迎える日清食品の「日清のどん兵衛」(以下、どん兵衛)シリーズ、東洋水産の「赤いきつねうどん」「緑のたぬき天そば」(以下、「赤緑」)シリーズという東西の横綱が市場に君臨。汁なしなどのバリエーション商品を含め、圧倒的なラインアップを展開しているが、大盛サイズについては近年、若干事情が異なっている。
和風大盛カップ麺市場を形成するのは、「どん兵衛 特盛」(麺100~101g、税別220円)、「赤緑」の「でか盛り」(麺100g、税別220円)、日清食品の「日清デカうま きつねうどん」(麺90g、オープンプライス)、そして「旨だし屋」などだが、2016年に発売の「旨だし屋」は、コストパフォーマンスの良さなどが支持され、じわじわと勢力を拡大中だ。
「旨だし屋」伸長の背景には、コロナ禍による購買チャネルの変化も影響しているものと見られる。実際、2020年度の食品小売市場では、量販、ドラッグストア、ディスカウントストアなどが好調に推移する一方、コンビニは苦戦した。和風カップ麺でも、「どん兵衛」シリーズの価格コンシャスユーザー向け「あっさりおだしがおいしい」が売上げを伸ばすといった変化が現れている。
こうした環境の中、市場に登場するのが大盛トップブランドの「ごつ盛り」。同ブランドはこれまで、焼そば、中華のみで和風はなかった。カップ焼そば、どんぶり中華ジャンルは同社シェアが必ずしも高くないため、「ごつ盛り」投入による既存品への影響が少ないと見られていたが、今回は既存「赤緑」への影響が想定される和風商品。コロナ禍で価格コンシャスユーザーが増加。それに伴い、ドラッグやEDLPのディスカウントストアが台頭する中、和風のオールターゲットに対応する狙いと見られる。
コロナ禍が長引く中、生活者の購買行動は変化し、大手量販トップからも価格政策強化という発言が聞かれるように、価格戦は激戦模様。