日新蜂蜜(岐阜県安八郡)は、テーブルハネー、プロポリスなど蜂産品のパッカー大手。独自技術を生かした機能性素材の開発も行っている。
昨年5月社長に就任した岸野逸人氏に、コロナ禍での業績と今後の事業展開を聞いた。

  ◇  ◇

――昨春は情報番組で業界にフォローの風が吹きました。

岸野 はちみつの需要が急増し、前期(2020年12月期)売上高は二ケタ増で着地した。今期はその反動を考慮し控えめな予算を組んでいる。POSデータによると今春の市場は前年同期比97~98%で推移しているが、一昨年水準を考えると悪くはない。

――御社の特徴についてお聞かせください。

岸野 国内市場は中国産の瓶詰製品でマーケットが形成されてきたが、当社は参入が遅れたパッカー。国産蜜の品揃えを充実させたほか、2国間以上の原料をブレンドする商品を提案し差別化を図ってきた。

また、創業50周年を迎えた10年前以降は、自社ブランドの育成にも注力してきた。今期もここまで自社ブランド品は市場平均を上回って推移しており手応えを感じている。

――アルゼンチン産とカナダ産のはちみつをブレンドした商品は売れ筋ですね。

岸野 はちみつは国際間で取引される原料。
コロナ禍では、はちみつもプロポリスも需要が急増し、原料高となる。国産も今年は不作と聞いている。今後はレンゲ、アカシアなど単花蜜での製品作り、原産国を一か所に限定した製品作りが困難になる可能性もある。

ブレンド製品は、原料相場が変化しても価格変動を抑えながら消費者の皆さまに安定供給できる商品。受け入れていただけているのはうれしいが、新たな産地開拓にも取り組みたい。

――機能性素材開発は、「醗酵黒シリーズ」やじゃばら、黒唐辛子、かんずりなど特徴ある素材が多いですね。

岸野 蜂産品に続き、今後、事業の柱の一つにしたい。「醗酵黒はちみつ」がコンビニ大手のPBで採用されるなど、各素材ともに採用事例が増加傾向にある。社内的にも開発スタッフを増員し、「健康素材グループ」を設置した。

当面の目標は事業規模の倍増。そのためには開発し続けることだ。産官学連携も活用しながらニーズ型、シーズ型それぞれで開発成果を増やしていく。
この1年で通販やEC取引も拡大しており、自社素材を使用した通販専用の商品開発にも着手していきたい。
編集部おすすめ