ポーション・PET・缶・紙容器…多様化する濃縮飲料 おいしさ・経済性・汎用性で支持広がる
ポーション売場
濃縮飲料が多様化・拡大している。容器も主流となるポーションやプラスチック容器から、ペットボトル(PET)、缶、紙容器へと広がりをみせている。
飲用量に対して容器が小さく持ち運びが楽で、おいしさ・経済性・汎用性などの点で支持が広がっているのが背景で、コロナ禍の外出自粛による家庭内需要の増加が追い風になっている。

ポーションでは、味の素AGF社が「ブレンディ ポーション」シリーズを強化。02年から春夏限定で販売していたのを19年に「ポーションコーヒー 無糖」と「同 甘さひかえめ」を通年販売。現在、ティータイプとココアタイプも取り揃え、在宅時間の充実につながるアレンジレシピを提案している。

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ポーション売場 ネスレ日本は今年、増加するポーションのヘビーユーザーに対応すべく「ネスカフェ ゴールドブレンド コク深めポーション」2品で20個入りの大容量タイプを発売開始した。

コーヒー抽出液でコーヒーを抽出する“濃厚ドリップ”と香料不使用で差別化を図ったのはUCC上島珈琲で、「職人の珈琲」ブランドから「ポーションコーヒー 深いコク 無糖 き釈用」を新発売。同商品も20個入りとなっている。

三井農林は、ポーション一つ分を水と混ぜるだけですぐに1ℓのむぎ茶がつくれる「秒でむぎ茶」を新発売した。

プラスチック容器ではロングセラーの「カルピス」(アサヒ飲料)が君臨。直近では6月8日に「完熟メロン」を期間限定で発売するなど季節商品を定期的に新発売しているほか、「かき氷にかける」といった汎用性を訴求してブランドに磨きをかけている。

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「ボス カフェベース」と「ボス ティーベース」(サントリー食品インターナショナル)
「ボス カフェベース」と「ボス ティーベース」(サントリー食品インターナショナル) PETでじわり存在感を高めているのが「ボス カフェベース」(サントリー食品インターナショナル)で、昨年は前年比約40%増の販売数量を記録した。ラテ(牛乳割り)・ブラック(水割り)・アイス・ホットとさまざまに飲用できるのが好調要因の一つとなっている。
領域を拡大して存在感をさらに高めるべく3月には「ボス ティーベース」2品を新発売。5月には「カフェベース アーモンドラテ」を期間限定発売した。

濃縮缶は、19年4月に「GREEN DA・KA・RA やさしい麦茶 濃縮タイプ」(サントリー)が発売されたのを皮切りに、20年に伊藤園が参入したことで売場が徐々に確立されつつある。

濃縮缶は、1缶を水に注ぐだけで好みの濃さに合わせて1~2ℓの麦茶や緑茶などが簡単につくれるのが特徴で、購入後も家庭内で省スペース化が図れるほか、使用後はPETに比べてラベルをはがすといった手間が省け、かさばらずに置いておけるのが価値となる。

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濃縮缶売場
濃縮缶売場 これらの価値に加えて、「自分自身が2児の母親として感じていることだが、『麦茶つくらなきゃ』でも『誰にも褒められない』という切ない気持ちがポジティブな価値に転換される。子どもやお父さんも気軽にでき、一瞬で達成感が得られるというのは、簡便さやコスパが良くなったこと以上に大きいかもしれない」との見方を示すのは、サントリー食品インターナショナルの高原令奈ジャパン事業本部ブランド開発事業部課長。

伊藤園は「お~いお茶」「健康ミネラルむぎ茶」の濃縮缶に加えて、今春に希釈用「タリーズコーヒー バリスタズブラック」を新発売した。

濃縮飲料はこのほか、キーコーヒーの「カフェオレベース」などの紙容器入りもあり、高付加価値商品を多く取り揃えるスーパーなどで販売され、新商品も散見される。
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