レモンの香りすら邪魔?「刺激以外はいらない」強炭酸水ニーズに対応の革新ボトル サントリー食品
平岡雅文課長(サントリー食品インターナショナル)
視覚・触覚・聴覚で「バキバキ強刺激」表現

サントリー食品インターナショナルが6月29日に新発売した炭酸水「THE STRONG 天然水スパークリング」は、炭酸水でレモンの香りすら邪魔に感じる強刺激ニーズに対応するものとなる。強刺激ニーズは、コロナ禍の閉塞感で高まりをみせていると同社はみている。

24日発表した平岡雅文ジャパン事業本部ブランド開発事業部課長は「『THE STRONG』の開発をスタートした時期はコロナによって世の中が大きく変化している中だった。お客さまの中にも、これまで経験したことのない閉塞感やストレスを抱え、強刺激によるリフレッシュにも新たな進化や価値が求められている」と語る。

この新たな価値に対応すべく、サントリーグループで一大プロジェクトを発足。中味開発・容器デザイン・包材など部署・事業会社の垣根を越えて開発を進めていった。

中味は、炭酸水ヘビーユーザーへの調査結果を受け「サントリー天然水」に「サントリー天然水」ブランド史上最高レベルのガス圧の強炭酸を加えた点が特徴となっている。

同調査では、一人の炭酸水ユーザーがプレーンとフレーバーを買い回らずに、プレーン・フレーバーのそれぞれに独自のユーザーがついていることが判明。

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平岡雅文課長(サントリー食品インターナショナル) その中でプレーンユーザーについては「刺激以外はいらない、レモンの香りすら邪魔であるというニーズが浮上した。「余計なものをそぎ落として本質的な刺激を突き詰めてほしい」というもので、おいしさを味わう飲料とは異なり、とにかく刺激を得る、それを側に置いておくというようなツール的な印象をわれわれに与えた」という。

このプレーン炭酸水ユーザーに向けて、本質的な刺激を訴求するため新たに挑んだのがボトルデザインの革新となる。510㎖PETでは、「サントリー天然水」のイメージと視覚・触覚・聴覚でも「バキバキ強刺激」を表現するため、炭酸入りの飲料では困難とされているボトル重心位置が尖ったボトル形状を採用している。

「炭酸飲料は内圧といってガスの圧力が容器の内側からかかるため丸みを帯びたデザインが一般的。バキバキした凸凹を施すという難題をクリアできたのはサントリーのユニークな商品開発体制があってこそ」と語るのは、ボトルデザインを担当したサントリーコミュニケーションズのデザイン部に所属する山岸彩乃氏。サントリーでは社内にインハウスデザイナーを抱えて事業横断で開発を進める体制を整えている。

今回は、通常のボトル開発の5倍となる100パターン以上の試作ボトルを大量製作して分析。応用解析シミュレーションも活用して、ボトルのどの部分に圧力がかかるかを計算するなどして試行錯誤を重ねて実現させた。

触ったときに刺激を感じる「触覚刺激」に加えて、視覚では、メタリックカラーで幅の短いラベルを採用して刺激感を表現。聴覚では、キャップとボトル口部の構造に工夫を施して爽快な開栓音が鳴るようになっている。なお、開栓音が鳴るキャップとボトルは一部製造工場では不採用となっている。

コミュニケーションは、間宮祥太朗さんを起用した新CMを6月27日に放映開始するなどして展開している。

サントリー推計によると、炭酸水市場は2020年に6千万ケース強と10年比で約8倍に拡大している。「今年1-5月累計では市場・当社ともに過去最高の実績を出していると推定している」(平岡氏)。

この好調要因となる長期的なトレンドとしては、

①できるだけ糖分をとりなくない健康志向の高まり
②情報過多の社会で強まるストレス発散ニーズ
③ハイボール・レモンサワーブームによるソーダ割りの浸透

――の三つを挙げている。

「THE STRONG 天然水スパークリング」は、この三つのトレンドに加えて、コロナ禍の閉塞感やストレスを背景に開発された。

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