ボコボコの「クラフトボス」、ペリペリはがす「伊右衛門」、バキバキの新炭酸水…視覚・触覚を追求、サントリーの容器開発
オンライン発表会で対談した大住裕一氏㊤と渡邊淳司氏
ネットでの購買が増え、店頭で商品を手にする機会が減る中、サントリーは容器とコミュニケーションによって視覚・触覚の期待値を高めて商品の魅力を伝えることに取り組んでいる。

6月24日、オンライン発表会で触覚やウェルビーイングに関する著作を著す渡邊淳司氏と対談したサントリーコミュニケーションズの大住裕一デザイン部スペシャリストは「『とにかく一度触ってみて下さい』をメッセージ化するにはどうしたらいいのかを考えている。
コロナ禍によって実店舗で一度手にとる行為がなくなりつつある中で、いかに期待値を上げていくかが重要」と語る。

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オンライン発表会で対談した大住裕一氏㊤と渡邊淳司氏 渡邊氏は「触覚は手元にデバイスがないと、なかなか伝えることができない。視覚でテクスチャー(質感・感触)を受け手に伝えたあとに実感してもらうことで、心に引っかかるものがつくれると思っている」と述べる。

サントリーでは、視覚から触覚を伝えるためにコミュニケーションを工夫。3月にリニューアル発売した「クラフトボス」の新容器名は“ボコボコボトル”。見た目からのおいしさを訴求強化するために採用した。

「伊右衛門」本体(緑茶)も昨年リニューアルし、淹れたての緑茶のような色、味、香りにこだわった中味へと磨きをかけて大ヒット。今年は、見ただけで中味の良さが分かる工夫として、ラベルを“はがす”楽しみも強化した。

ボトル容器(525㎖・600㎖)の4面に、丸茶マークと招き猫、亀、だるまの縁起の良い絵柄を引き続きあしらったほか、リニューアルを機にラベルの裏側の8種類の絵柄をすべて新デザインに差し替えた。

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“ボコボコボトル”の「クラフトボス」
“ボコボコボトル”の「クラフトボス」 ラベル裏のおみくじも好評につき強化した。大大吉、大吉、中吉、小吉を用意し、今年3月のリニューアル発売時から緑茶本体のペットボトルすべてのSKUに導入し、プレゼントキャンペーンなどを通じてラベルをはがすことを促進している。

そして6月29日に新発売された炭酸水の新商品「THE STRONG 天然水スパークリング」では、「サントリー天然水」ブランド史上最高レベルのガス圧の強炭酸を伝えるため“バキバキ”形状のボトルを採用した。
このボトルは、天然水の水源の削り出された氷をイメージして開発された。「かき氷のような柔らかい氷ではなく、切り出したときに大きな面があるかち割り氷をイメージした。見た目で氷っぽくし、触ってみて力強さを感じていただきたい」(大住氏)と説明する。

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“バキバキ”形状ボトルの「THE STRONG 天然水スパークリング」
“バキバキ”形状ボトルの「THE STRONG 天然水スパークリング」 一般的に炭酸飲料は、ガスの圧力が容器の内側からかかるため、丸みを帯びたデザインとなり、「模様は常に輪郭線にはりついている」という。

今回、この課題をクリアして、バキバキした凸凹を施せたのは「サントリーのユニークな商品開発体制があってこそ」と語るのは、ボトルデザインを担当したサントリーコミュニケーションズのデザイン部に所属する山岸彩乃氏。

サントリーでは社内にインハウスデザイナーを抱えて事業横断で開発を進める体制を整えている。「THE STRONG 天然水スパークリング」の容器開発では、通常のボトル開発の5倍となる100パターン以上の試作ボトルを大量製作して分析。応用解析シミュレーションも活用して、ボトルのどの部分に圧力がかかるかを計算するなどして試行錯誤を重ねて実現させた。
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