
標高約1000mは開発限界線で、ここよりも高地は開発が厳しく制限されゴルフ場やスキー場などの施設は皆無。
取材に応じた友田諭社長は「近隣水源地をいくつか検査した結果、ここで採れる天然水が間違いなくいい品質の水」と胸を張る。
友田諭社長(友桝飲料) この天然水を使って富士山工場限定生産商品として発売したのが「富士山バナジウム強炭酸水」。
バナジウムは富士山周辺で採水される水に多く含まれる中、同商品には1000㎖あたり79μg(マイクログラム)という豊富なバナジウムを含んでいる。
機能性食品やトクホではないので商品では訴求できないが、一般的に地下水などに極微量含まれるバナジウムは、ミネラルの一種で糖尿病に対しインスリンと似た血糖値降下作用があるとされる。
富士山工場の敷地面積は約2万6000㎡で建物面積は約8000平米。新たな建屋の増設スペースを有し拡張の可能性を残している。
生産ラインは現在1本で、炭酸水とサワー(果汁入り炭酸)の生産に対応。現在は炭酸水のみを生産している。

生産スピードは、大手飲料メーカーでは小型容器で800~900bpmのラインが標準化している中で、高速レベルではないが、富士山工場には国内の飲料業界に先駆けて効率化が図れる3つの設備が整っている。その3つは、らせん式搬送システム・最新パレタイジングロボット・新生産ユニットを指す。
らせん式搬送システムで、ケース詰めした商品を省スペースで上部に持ち上げ、それを最新パレタイジングロボットで効率よく整列して下ろして積み上げていく。
新生産ユニットは、ボトル成型とラベリングが一体化したものとなる。

5月現在、2交代16時間で稼働し、飲料最需要期となる夏場に向けて3交代24時間のフル稼働を目指している。
「きちんと安定稼働させて、一刻も早く生産能力を最大限に高めていくことに最注力していく。富士山工場では食品安全管理の国際規格FSSC22000に適合した品質のもと、お客様の多様なご要望に対応した新商品の開発と生産につとめていく」考えだ。

「富士吉田市から『天然水を体感できる場所をつくっていただきたい』との要請をいただいたこともあり、スペースが確保できることから、きちんとしたものを整えた」と述べる。
見学はガラス越しでできるようにし、調合タンクを真上から見下ろせるようにするなど見せ方に工夫。
広めの見学通路に展示物やVTRも配置し、全体として「当社のブランドイメージを感じていただくため“富士山の天然水と炭酸を感じられる場所”をコンセプトにしている」。施設内には炭酸の楽しさをイメージしたような心地よいBGMも流れる。

環境教育への取り組みもアピール。
富士山工場では、事業者と富士吉田市が連携しながら豊かな天然水を活かし地域や富士山の抱える課題を解決していくために立ち上げられた「天然水の聖地 富士吉田市公民連携プロジェクト」に参加し、自然環境の保全に役立ててもらえるよう収益の一部を寄付していく予定である。
富士山工場は、本社の小城工場と長野県の木曽開田工場に次ぐ3か所目の自社工場で東日本の拠点となる。「東の富士山と西の小城、その間に両方をサポートする木曽開田があり、これに外部の委託工場様に加えて全国をカバーしている」。

