21年産カナダ菜種の生産量予想は2千万tを上回り過去10年でも3番目の高水準だが、輸出用、国内需要とも高水準で、21/22年度の期末在庫率は8%と2年連続で低水準にとどまる見通し。
期末在庫について、カナダ側は「20/21年度の期末在庫は156万t。過去にはこれより低い年もあったが、今年ほど品薄感が厳しかった年はない。需要が非常に堅調で下がる気配がなく、このひっ迫状況は来年にも引き継がれ、21/22年度の期末在庫は188万tを見込んでいる。ただし今後、生産量が増える可能性もあれば減る可能性もある。コロナ禍で世界の需要が大きく変わる可能性もある」とした。
こうした状況下で懸念されるのは熱波・高温による影響だ。カナダ菜種の輸入量は220~230万tで安定しており、カナダとの長年のパートナーシップもあり、すぐさま安定供給が脅かされる可能性は少ないが、需給タイトによる相場高騰が懸念されている。
仮に7月の熱波・高温の影響で21年産の生産量が予想よりも50~100万t減産となった場合、期末在庫は80~130万t台に落ち込み、期末在庫率は5%台を割り込む可能性もある。
期末在庫率5%は日数にして18日分。
足元では、菜種の期近相場(11月切り)はトン800~900加ドル水準と、新穀としては過去最高値を付けている。大豆、パーム油も世界的なオイル高が続いており、現状では植物油の国際相場は下げ材料が見当たらない状況だ。すでに製油各社は4、6月の値上げに続き8月から期中3度目かつ50円/㎏以上と過去にない値上げを実施し、急激なコスト上昇に対応した油脂価格の構築を急いでいる。
製油メーカーのトップは「バイオディーゼル需要の高まりもあり、世界的に穀物需給がタイトになっている。今回の相場高騰は一過性のものではなく、中長期の構造的な変化ととらえ、原料相場の上昇に対応した油脂の価値と価格水準を構築していく必要がある」と危機感を強めている。

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