
中間処理施設で選別・加工されてベール状に圧縮されたPET・アルミ・スチール・瓶の各素材が再商品化事業者(リサイクラー)に販売されることで資源循環は成り立っている。
このことから中間処理施設は、リサイクルに欠かせない重要拠点である一方、リサイクルボックスに心なく入れられる異物の被害を一身に引き受けている拠点でもある。
ガラスリソーシング創業者の伊藤憲一会長 さまざまな危険にさらされながら資源循環を死守すべく危機管理を徹底するのは、千葉県成田市に国内最大規模の中間処理施設(成田工場)を持つガラスリソーシング(株)。
創業者の伊藤憲一会長は「災害や何があっても空容器を引き取るというのが我々の約束事。当社はメーカーさまと歩み、メーカーさまを支えていくという気持ちでこのような設備をしている。改善すべき点はまだまだたくさんあり、いい事例をつくり全国に広めたい」と意欲をのぞかせる。
3万4650平米の広大な敷地の成田工場に、東京・神奈川・千葉・茨城・栃木から持ち込まれる飲料空容器の搬入量は1日70~80t。処理能力は1時間に15t程度で1日5.5時間ほどの稼働で全て処理している。

このような規模感に加えて、Aグレードレベルの高品質PETベール(PETを圧縮・梱包したもの)を生み出している点や環境に配慮した点も強みとする。
高品質PETをリサイクラーに販売することで、飲料業界が一丸となって取り組んでいる使用済みPETを回収・再生して新しいPETに生まれ変わらせて循環利用するボトルtoボトルリサイクルに貢献している。

台風や地震など自然災害発生時でも資源循環の輪を守る対策としては、彩源(埼玉県深谷市)とベストトレーディング(神奈川県厚木市)の中間処理企業2社と災害協定を締結。
「災害が起こっても搬入・搬出を止めることはできない。何が起こっても使命を果たせるように協定を結び、膨大な敷地を必要とする。焼却に出すときも、コロナで焼却炉が一杯になってしまうと出せるようになるまで保管しないといけない。このように入と出の両方で挟まれるのが中間処理」と述べる。

異物による被害の一例について「破袋機の刃を何十枚と交換しなければならず、アルミ選別機にペンチが入って壊れると100万円がポンと出ていってしまう。最近、異物で多いのが乾電池やリチウムイオン電池で、破袋機のちょっとした衝撃で破裂して燃えながらベルトコンベアーで運ばれてきたりする」と語る。
このような被害を極力減らすべく、同社では様々な異物混入を想定し、機械メーカーと相談しながら投資を行うなど対策をこうじているという。
成田工場では、B棟とC棟の2つの建屋で飲料空容器の選別・加工を行っている。
B棟で搬入と混合容器(PET・缶・瓶)の選別を行い、この中からPETのみC棟に運ばれラベル剥離と洗浄の工程を経て国内循環に適したAグレードレベル品質へと引き上げられる。
ラインは総じて一回では難しい選別・異物除去を何度も行いふるいにかける仕組みになっている。

破袋機で取り切れなかった大きなビニール袋ほか石や金属など機械を壊す恐れのあるものを人の手で取り除いていく。
次に鉄を吸着させる磁選機でスチール缶を選別し、その後、風力選別機と電磁式選別機でアルミ缶とPETから異物を除去される。
アルミ缶とPETは、大小2台のアルミ選別機を通って分離される。それぞれ、電磁式で取り切れなかった電池やガラスなど細かいゴミが落され、光学自動選別機に入って(1)空容器(2)瓶と中味入り容器(3)ゴミの3種分別が行われる。
瓶と中味入り容器は人の手でさらに分けられ、アルミ缶もゴミを極力減らすべく人の手で最終チェックされる。

以降、選別機でB棟では取り切れなかった鉄を除去し、3台のラベル剥離機でラベルが剥がされる。
ラベルを剥がされ光学選別機で選別されたきれいなPETは洗浄と脱水を経てプレス機に入れられる。
一方、ラベルを剥がしきれなかったPETは再び剥離機・光学選別機に入れられ、できるだけ資源循環させる工夫が施されている。
分離されたラベルもプレスされ、ラベルのベール品はRPF(固形燃料)として活用される。