
トラック輸送量が多い飲料業界の中で業界トップクラスのサントリー食品インターナショナルは、ドライバー不足を重大な経営課題と捉えて3本の矢を放ち、持続可能な物流に向けた取り組みを推進している。
取り組みの1つにドライバーを待たせない先進事例がある。
大和ハウス工業との協働で飲料に最適な仕様に設計され、2021年11月に稼働開始した浦和美園配送センター(サントリーロジスティクス埼玉支店)では入出庫の受付を自動化している。
浦和美園配送センター外観 建屋の3~5階に入居。 同センターは、2万1000パレット(115万ケース)の保管能力を持つ巨大配送センター。トラックが駐車して貨物の荷積みや積み下ろしをする場所(バース)を39台分備え、年間2500万ケースの入庫・出庫に対応している。
この通常の3倍規模となるバース数と入出庫の受付の自動化により、一般的な配送センターと比べトータルで約1時間早くドライバーの退場が可能となる。
ここではバースの事前予約システムは不要となっている。 10月18日、同センターで発表したサントリーロジスティクス埼玉支店の小島達也リーダーは「受付で5分から10分短縮し、さらにバースを指定する呼び出し時間を大幅に削減している」と胸を張る。

入庫・出庫でもドライバーの待機時間削減のための工夫が施されている。
出庫では、仮置きスペースを広くとることで、バースに積み込む商品を事前に荷集め・荷揃えする。これによりトラックが到着次第の積み込みを実現。

各フロアとも敷地の半分は仮置きスペースで占められている。3階の仮置きスペースにはAGF(Automated Guided Forklift)と称する自動運転の無人フォークリストが4台稼働し、仮置きスペースからバースへと商品を移動している。
3階の仮置きスペースについては「無人フォークリフトが時速3.6キロと非常に遅いスピードで動いているため当日出荷には間に合わず、翌日や翌々日の出荷のために稼働している」と説明する。

残りの2本矢としては、製造・物流拠点増加による輸送距離の短縮化と積載効率を考慮したパッケージの設計を挙げる。
